1997 年 58 巻 2 号 p. 316-320
症例は62歳男性で,主訴は左眼流涙.平成6年1月頃より症状が出現したため近医受診. CTで左副鼻腔を中心に腫瘍性病変が認められ,当院耳鼻咽喉科へ入院となる.節骨洞開放生検でMFHの診断に至る.術前化学療法としてFEMP療法施行中,胃部不快感の出現を見たため上部消化管内視鏡施行.胃体部大彎に径40×40mmの隆起性病変を認めた. Biopsyの結果, malignant fibrous histiocytoma(MFH)と診断. 67Ga scintigraphyでは左副鼻腔と左上腹部(胃)に異常集積像を認めた.同脳神経外科で原発巣摘出術施行後,当科転科となり幽門側胃切除術を施行.副鼻腔原発MFHの胃転移と診断された.このような転移を示した症例は極めて稀であり,文献的考察を加えて報告する.