日本臨床外科医学会雑誌
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胸骨傍リンパ節転移による胸痛にPamidronateが有用であった末期乳癌の1例
尾浦 正二櫻井 武雄吉村 吾郎玉置 剛司梅村 定司粉川 庸三
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1997 年 58 巻 2 号 p. 346-349

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抄録

症例は,乳癌術後に胸骨傍リンパ節再発をきたし,種々の化学内分泌療法や放射線照射の前治療歴を有する57歳女性で,高度の前胸部痛に対して経口モルヒネ剤によ疼痛管理が施行されていた.しかしながら疼痛制御が不十分なため, pamidronateによる疼痛制御を試みたところ良好な疼痛制御が得られ,疼痛制御に必要な経口モルヒネ剤も半量に減量し得た.胸骨傍部以外にも新たな病変が急速に出現したため,比較的短期間で麻薬の再増量を必要としたが,死亡する直前まで胸骨傍部疼痛の再増悪は訴えなかった.以上よりPamidronate療法は,胸骨傍リンパ節再発に起因する胸痛に対して有用な治療選択肢の一つになり得る可能性が示唆された.

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