1997 年 58 巻 2 号 p. 359-362
症例は34歳男性, 2カ月前に交通事故による胸部打撲の既往あり.前日より続く胸痛および呼吸困難が急激に増悪したため緊急入院となる.胸部X線写真(臥位)で右胸水貯留を認め,胸腔ドレナージを行うと,血性排液が8時間で1,200ml認められた.診断および止血目的で胸腔鏡ガイド下手術を行った.右肺尖部壁側胸膜部の索状物より拍動性の出血を認め電気メス,クリップを用いて止血した.肺尖部に気腫性嚢胞の存在は認めていないが, retrospectiveにみた入院時の胸部X線写真での少量の空気像の存在より特発性血気胸と診断した.