日本臨床外科医学会雑誌
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腹痛により発症した術後急性肺塞栓症の2例
味村 俊樹山口 浩和酒井 滋倉本 秋上西 紀夫山川 満大原 毅
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キーワード: 術後肺塞栓症
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1997 年 58 巻 2 号 p. 354-358

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抄録

肺塞栓症は,消化器外科領域において,稀ではあるが,一旦発症すると死に至ることの多い重大な術後合併症である.今回われわれは,短期間に2例の術後肺塞栓症を経験したので報告する.
症例1: 60歳男性.進行胃癌に対し幽門側胃切除術施行.第2病日の歩行時に腹痛,呼吸困難を訴えた後,心肺停止となった.蘇生術により蘇生し,諸検査より肺塞栓症と診断し,抗血栓療法を行ったが,多臓器不全となり,第23病日に永眠した.
症例2: 59歳男性.早期胃癌に対し幽門側胃切除術施行.第1病日の歩行時,突然腹痛を訴え,ショック状態となった.諸検査より肺塞栓症を疑い,肺血流シンチグラムで診断を確定した後,抗血栓療法を行い,回復した.
2例の苦い経験より,現在当科では,波動型末梢循環促進装置を術中に用いて,術後肺塞栓症の予防に努めている.

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