日本臨床外科医学会雑誌
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高CEA血症を呈した虫垂粘液嚢腫の1例
赤坂 義和花村 典子木田 英也天野 一之矢野 隆嗣藤森 健而
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1997 年 58 巻 2 号 p. 419-424

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抄録

高CEA血症を呈した虫垂粘液嚢腫の1例を経験したので報告する.
症例は71歳,男性.主訴は咳漱.胸部X線写真に著変なく,血清CEA値は14.0ng/mlと高値であった.理学的所見では,右下腹部に8×4cm大の表面平滑・可動性良好な腫瘤を触知した.注腸透視では盲腸に6.0×4.5cm辺縁整の陰影欠損を認め,大腸内視鏡検査では球状の粘膜下腫瘍様病変を認めた.虫垂粘液嚢腫の術前診断にて回盲部切除施行.虫垂は直径5cm, 長さ約15cmに腫大緊満し,根部は盲腸に陥入していた.病理組織学的所見では悪性所見なく虫垂粘液嚢胞腺腫と診断され, CEA染色陽性であった.術後経過良好で,血清CEA値は術後3カ月目2.5ng/mlと正常化した.
1986年~1993年の集計しえた虫垂粘液嚢腫本邦報告32件40例中,術前CEA値の記載のあるものは19例で, CEA高値を呈したものは6例(31.6%)と比較的高率であった.

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