日本臨床外科医学会雑誌
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若年者結核性腹膜炎の2例
南木 浩二森田 隆幸早川 一博鳴海 俊治十束 英志鈴木 純今 充
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キーワード: 結核性腹膜炎
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1997 年 58 巻 2 号 p. 461-465

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抄録

若年者に発症した,結核性腹膜炎の2手術例を経験したので報告する.症例1は17歳男性,腹水,発熱を主訴に来院し,大腸内視鏡で回盲部悪性リンパ腫が疑われたが,喀痰,胃液,便より結核菌が検出された.化学療法により排菌は陰性化したが,小腸狭窄のため手術適応と判断された.回盲部は一塊の炎症性腫瘤を形成し,狭窄部を含む回盲部切除術を行った.症例2は20歳男性.原因不明のイレウス症状で近医受診,開腹術が行われた.開腹時,腸管の強い炎症性癒着を認め, Crohn病などが疑われたが癒着高度のためtube enterostomyが造設された.術後, tube enterostomy造設部の創感染と直接小腸瘻を形成したため,精査,加療を目的に当科紹介となった.再開腹術を施行,癒着を剥離し,直接瘻の閉鎖術を行った.両症例とも腹腔内には結核性肉芽腫を無数に認めた.

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