日本臨床外科学会雑誌
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直腸平滑筋肉腫の1例
下田 貢門脇 淳堀江 健司小暮 洋暉
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キーワード: 直腸, 平滑筋肉腫
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1998 年 59 巻 1 号 p. 180-183

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抄録

症例は, 81歳の女性.下血を主訴に来院した.直腸診で直腸前壁に腫瘤を触知した.大腸内視鏡検査で,下部直腸前壁に潰瘍を伴うBorrmann 2型の腫瘤を認めた.生検で上皮下に線維束を形成し浸潤増殖した異型的平滑筋細胞を認め,核分裂像の散見する平滑筋肉腫と診断された. MRI像で腟への浸潤が疑われた.平成8年9月3日腹会陰式直腸切断術を施行した.腫瘤はRb前壁に存在し,腟に直接浸潤しており一部を合併切除した.組織学的にも平滑筋肉腫と診断されNo. 251, 252リンパ節に転移を認めた.大腸に発生する平滑筋肉腫は稀で,特に直腸の平滑筋肉腫は悪性腫瘍中約0.5%にすぎない,転移形式は血行性で肝肺への転移が多いとされている.また,手術に関しては,縮小手術の傾向が強い.本症例のように腫瘍径が2cmと比較的小さい腫瘍であっても,壁外浸潤の可能性が疑われた場合は積極的に拡大手術が必要であると考えられた.

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