日本臨床外科学会雑誌
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大腸癌腹膜播種性転移切除例における予後規定因子の臨床的検討 -予後からみたPlとP2の定義について-
藤岡 秀一筒井 光広佐々木 壽英田中 乙雄梨本 篤土屋 嘉昭佐野 宗明牧野 春彦
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1998 年 59 巻 1 号 p. 52-58

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抄録

腹膜播種陽性大腸癌のうち根治Bであった37例を臨床的に検討し,予後規定因子を解析した.全体の5年生存率は31.4%で,多変量解析の結果から予後規定因子は“リンパ節転移がn2以下”と“腹膜播種の個数が3個以内”の2因子であり,これら2因子を満たす18例の5年生存率は56.8%と良好であった.
またP1とP2をそれぞれ腹膜播種の個数が3個以内と4個以上の群に分けて比較すると, P1では2群に有意差を認めなかったが, P2では3個以下の群で有意に予後が良好であり, P1全体と比較しても有意差を認めなかった.したがって予後を考慮した場合,遠隔腹膜にある播種のうち個数が3個以内のものはP1に含め,遠隔腹膜の4個以上の播種のうち切除可能なものをP2とするのが妥当であると考えられた.

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