1998 年 59 巻 1 号 p. 83-88
骨シンチグラフィー,全身骨X線検査にて陽性所見を認めず,全身positron emission tomography (PET)にて骨転移を診断しえた再発乳癌症例を経験したので報告する.症例は48歳女性で術後1年5カ月後に左鎖骨上窩リンパ節転移が確認された.胸部X線検査,頭部CT検査,腹部超音波検査,消化管精査,全身骨X線検査,骨シンチグラフィーを施行したが,頸部リンパ節腫大以外には異常所見は認めなかった.この症例に全身PETを施行したところ,左鎖骨上窩の異常集積像とは別に頸椎,胸椎,腰椎にも異常集積像が認められた.引き続いて施行したMRI検査では典型的な骨転移像が認められた.乳癌骨転移の診断に全身PETは有用であると考えられた.