日本臨床外科学会雑誌
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膵胆管合流異常症を合併した先天性肝外門脈狭窄による門脈圧充進症の1例
須藤 幸一石山 秀一布施 明久津 裕浦山 雅弘五十嵐 幸夫平井 一郎
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1998 年 59 巻 11 号 p. 2891-2894

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抄録

症例は17歳,女性. 6歳時に黄疸にて当院に入院.肝機能障害,脾腫,食道静脈瘤を指摘され,特発性門脈圧充進症と診断された.以後,外来通院していたが,平成9年6月5日より左季肋部痛が出現し今回の入院となった.内視鏡的逆行性胆管膵管造影にて膵管に胆管が合流する型の合流異常を認めた.腹部CTでは脾腫と肝門部にcavernous transformationを認め,腹部血管造影では肝外門脈に狭窄が認められた.肝外門脈狭窄による門脈圧亢進症,膵胆管合流異常症の診断にて,平成9年9月24日手術を施行した.脾摘出,胆嚢摘出,肝外胆管切除後,門脈狭窄部を切開すると,内腔には線維性輪状の膜様狭窄を認めた.狭窄部を切除術,摘脾後の脾静脈片から採取したパッチを用いて門脈を形成した.門脈圧は開腹直後39cm H2Oから門脈形成後19cm H2Oと減少した.病理組織学的には膜様狭窄部は膠原線維からなり,弾性層は一方向性弁様で先天性のものと診断された.

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