日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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59 巻, 11 号
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  • 長嶋 健, 鈴木 正人, 矢形 寛, 橋本 秀行, 宍倉 朋胤, 今中 信弘, 押田 正規, 中島 伸之
    1998 年59 巻11 号 p. 2721-2723
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    甲状腺乳頭癌はリンパ節転移をきたすことが多いが,各種画像診断法を駆使しても頸部リンパ節の正確な術前評価を行うことはしばしば困難である.今回われわれは臨床的にリンパ節転移を認めない甲状腺乳頭癌症例を対象に,術前細胞診標本を用いて癌細胞核の大小不同性を客観的に評価し,組織学的リンパ節転移との関連性につきprospectiveに検討した.術前に転移なしと判定した甲状腺乳頭癌50例において,組織学的リンパ節転移は20例(40.0%)にみられ,術前穿刺吸引細胞診検体を用いてコンピューター計測により算出した核面積偏位係数(NACV)低値群では28例中6例(21.4%)にリンパ節転移が認められたのに対し,高値群では22例中14例(63.6%)であった(p=0.0025).術前細胞診を用いた核異型度評価は,リンパ節郭清範囲に関する術式決定に有用な情報となり得ると考えられる.
  • 林 孝二, 須磨 幸蔵
    1998 年59 巻11 号 p. 2724-2726
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1989年より現在までに,当科では体外循環下にPDA閉鎖術を5例に施行した.術前の心臓カテーテル検査では,平均左→右短絡率53.2% (29~73),肺動脈平均圧40.2mmHg (28~53)であった. 1例は僧帽弁閉鎖不全を合併し, 1例はPDA結紮後の再開通であった.手術は,胸骨正中切開で完全体外循環のもと肺動脈を切開し, Fogartyバルーンカテーテルを動脈管の肺動脈側より大動脈内に挿入し,バルーンを拡げて動脈管内への血流を遮断し,無血視野を得た.動脈管の閉鎖は,直接またはパッチを用いて行った.術後経過は良好で,術後の心エコー検査では,左→右短絡はすべての症例で認めていない. Fogartyバルーンカテーテルを動脈管に挿入し,血流を遮断することにより無血視野が得られ, PDAを容易に縫合閉鎖することができる.
  • 草島 義徳, 瀬川 正孝, 広野 禎介
    1998 年59 巻11 号 p. 2727-2733
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    最近13年間の原発性肺癌手術275例を対象にその治療成績を検討した.非小細胞癌全手術例の5年生存率は48.7%, 10年生存率は46.0%であった. p-Stage別5, 10生率は,それぞれ0期100%, 100%, I期75.2%, 75.2%, II期67.2%, 67,2%, IIIa期36.8%, 28.4%, IIIb期0%, 0%, IV期10.2%, 0%で, IIIb期例は,拡大切除と補助療法を駆使しても悲惨な結果であった.術式別5生率は,拡大区域切除R2例100%(4年生存率),葉切R2例56.0%,全摘R2例13.0%,部・区切23.4%で,末梢型2cm以下のC-T1N0M0例に対して術中迅速凍結病理検査を多用してS-T1N0と判定し,拡大区域切除R2施行例 (n=17) は,極めて良好な結果であった.発見動機別5, 10生率は,検診発見群64.2%, 60.2%,他疾患加療中発見群39.4%, 32.1%,有症状発見群32.4%, 32.4%で肺癌検診が手術成績向上に寄与していることが示唆された.
  • 前川 武男, 矢吹 清隆, 佐藤 浩一, 三島 吾朗, 玉崎 良久, 河井 健, 関根 庸
    1998 年59 巻11 号 p. 2734-2739
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1989年より8年間に当外科で29例の大腸穿孔症例を経験した.これらの各群のsystemic inflammatory response syndrome (SIRS)・術後7日までの白血球数・血小板数・尿素窒素について比較検討した. I群はSIRS陰性例. II群はSIRS陽性例で,うち生存例をII-1群,死亡例をII-2群. III群はSIRS陽性でエンドトキシン吸着 (PMX) 施行例.白血球数ではI群は術前7,400 ± 4,100/mm3に対し, II群は8,800 ± 6,600/mm3であったが, II-1群は12,900 ± 5,200/mm3と上昇しており, II-2群は2,400±1,600/mm3, III群は2,500 ± 1,200/mm3と極端に減少していた. PMX施行例は術後経過とともに上昇し,術後7日目には9800 ± 4,300/mm3とII-2群に比べ有意に増加した.また, SIRS陽性例にPMXを施行することは,血小板数・尿素窒素の改善に有効であった.
  • 菊池 美奈子, 渡会 伸治, 国崎 主税, 簾田 康一郎, 嶋田 紘
    1998 年59 巻11 号 p. 2740-2746
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性腎透析患者の消化器外科術後の合併症発生と死亡のrisk factorを明らかにするため,消化器外科手術を施行した慢性腎透析患者26例を対象とし,術前,術中,術後の因子を検討した.術後合併症は15例(57.7%),死亡は3例(11.5%)であった.術前のPrognostic Nutritional Index (PNI)が40以下で有意に合併症の発生を認めた.その他の術前因子で,ステロイド服用,術前日血清BUN 50 (mg/dl)以上,術後因子で,術後1日目血清BUN 70 (mg/dl)以上,総蛋白値4.0 (g/dl)以下,縫合不全,腹腔内感染例で死亡率が高かった.これらのrisk factorを認める患者に対し, risk factorを改善する術前管理や縮小手術,姑息的治療法への変更などを考慮すべきと思われた.
  • 村上 真基, 宗像 康博, 林 賢, 西村 秀紀, 町田 恵美, 三田 篤義
    1998 年59 巻11 号 p. 2747-2754
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1995年6月から1997年8月までに行った成人鼠径ヘルニア手術-従来法,Mesh Plug法,腹腔鏡下法に対しNyhus分類別に検討した. Type-I, II症例では術後入院期間,術後鎮痛剤使用回数の術式間較差は少なく,Type-III症例では入院期間,鎮痛剤使用回数で従来法の成績が悪くtension repairの短所が目立った.各術式には長短所があり病態,QOLに従った症例毎の術式選択が必要である.すなわちType-Iでは腹壁補強の必要はなく従来法を行う. Type-IIでは若年者には人工物の使用を控えた従来法を行うが, Type-IIIとの鑑別が難しい場合はMeshによる補強を行う. Type-IIIはMeshによる修復の適応で, Plug法は成績良好であるが,巨大ヘルニアには大きなMeshを用いる腹腔鏡下法が適応となる. Type-IV症例のうち,前方アプローチ後の再発例には腹腔鏡下法を行う.このNyhus分類による術式選択法を採用することにより,術後の成績は改善された.
  • 志田 力, 尾崎 喜就, 坂田 雅宏, 脇田 昇
    1998 年59 巻11 号 p. 2755-2759
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1993年10月以降, 1998年3月までに1,756人2,217肢の下肢静脈瘤を硬化療法併用静脈結紮術にて治療した.対象は大伏在静脈型を含めた全ての1次性静脈瘤である. 1994年11月からduplex scanを用いて結紮部位を決めている.各年度の治療例数は平均500例であった.静脈結紮数は初期の1カ所強から経年的に増加し昨年は4カ所強であった.硬化療法の回数は1人あたり平均1.5回で変わらなかった.しかし硬化療法の不要な例の割合は初期の5%が最近は66%へと大幅に増加した.すなわち静脈結紮を多用することにより,多くの静脈瘤が治癒することが明らかとなった.
    静脈瘤の本態は静脈の弁不全にもとづく静脈の蛇行,拡大と考えれば,その原因である弁不全部をduplex scanを応用し選択的に結紮する術式は静脈瘤治療の理にかなっており,硬化療法併用静脈結紮術という治療方法は妥当性をもつと考える.
  • 藤島 宣彦, 大宅 宗治, 三浦 源太
    1998 年59 巻11 号 p. 2760-2763
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    耳下腺外に発生したWarthin腫瘍の稀な1例を経験したので報告する.症例は66歳の男性で2年前より自覚した頸部腫瘤を訴え,頸部CTで右上外側頸部に小鶏卵大のisodensityを示す円形の腫瘍を認めた.良性の頸部腫瘍の診断で摘出術を施行した.腫瘍は胸鎖乳突筋の裏側に存在し,薄い線維性被膜に覆われ,剥離は容易で,耳下腺,顎下腺,神経,血管との関連性は認めなかった.摘出標本は, 4.5×2.7×1.7cm,弾性硬,割面は充実性で小嚢胞の散在を認めた.組織学的に上皮細胞が乳頭状発育を伴って嚢腺腫を形成し,間質には胚中心を有するリンパ組織の増殖を認めた.上皮細胞は二層性を示し典型的なWarthin腫瘍の像を呈した. Warthin腫瘍の成因はリンパ節の中の異所性唾液腺組織より発生するという仮説が今日最も広く受け入れられており,この症例も耳下腺,顎下腺との関連性を術中認めず,リンパ節より発生したと考えられた.
  • 長田 裕典, 堀見 忠司, 市川 純一, 西岡 豊, 岡林 孝弘, 稲垣 優, 岡崎 泰長, 野口 洋文, 永野 克二, 寺石 文則, 小高 ...
    1998 年59 巻11 号 p. 2764-2768
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は17歳女性.妊娠中に急速に増大した左乳房腫瘤のため入院.左乳房に9×8cmの腫瘤を認めたが,超音波,マンモグラフィー,細胞診では悪性所見を認めなかった.線維腺腫あるいは葉状腫瘍の術前診断のもとに摘出術施行した.病理組織学的には腫瘍は異型性のない腺細胞による小腺管構造を呈しており,管状腺腫と診断した.本邦文献における管状腺腫報告例は本症例を含めて32例にすぎない.なかでも腫瘍径の大きさや,妊娠中の急速な増大を認めたことなど,臨床的に極めて興味ある症例と考えられた.
  • 三好 和也, 淵本 定儀, 大崎 俊英, 坂田 龍彦, 武田 功, 高橋 健治
    1998 年59 巻11 号 p. 2769-2773
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    乳腺髄様癌は稀な特殊型乳癌で,良好な予後など特異な臨床像を示す. 1990年から1997年末までの初発乳癌373例のうち術後の病理検索で髄様癌と診断されたものは8例(2.1%)であった.この8例をRidolfiらのTypical medullary carcinoma (以下TMC)・Atypical medullary carcinoma (以下AMC)・Non-Medullary carcinoma (以下NMC)の3群分類に準じ再評価したところ, TMCが5例, AMCが3例であった.超音波では,境界が比較的明瞭で,強い後方エコーを伴う低エコー像を示した.マンモグラフィでは,境界の比較的明瞭な結節状病変を呈した.造影MRIでは,境界明瞭な淡い結節影として描出された. AMCは病理所見は類似していても髄様癌の臨床的特徴に欠けるため, TMCとAMCを鑑別することが重要であるが,術前の画像診断で両者を区別することは不可能であった.
  • 山本 裕, 森田 一郎, 遠藤 浩一, 菊川 大樹, 正木 久男, 藤原 巍
    1998 年59 巻11 号 p. 2774-2778
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胸壁に発生した骨外性Ewing肉腫の1例を経験したので報告する.症例は30歳女性,右背部痛を主訴に近医を受診し,胸部X線, CT, MRIにて右胸腔内胸壁後下部に腫瘤影を認め,当科に紹介となった.当科での肋間動脈造影で第6, 7肋間動脈からの流入血管と腫瘤に一致したtumor stainを認め,胸壁原発の肉腫を疑い手術を施行した.手術時,腫瘤は第6肋間に認められ,迅速の結果,悪性腫瘍の診断のもと,腫瘍と第6, 7肋骨を一塊として摘出した.摘出した腫瘍は4.0×2.5cmで,光顕所見,免疫組織学的検査から骨外性Ewing肉腫と診断された.術後, ADR, CPM, ACT-D, VCRの化学療法を2クール施行後, Tegafur, PSKの内服にて外来follow upとし,現在術後2年6カ月になるも再発徴候を認めない.
  • 谷村 葉子, 松崎 安孝, 弥政 晋輔, 河合 正巳, 松永 宏之, 山口 喜正
    1998 年59 巻11 号 p. 2779-2782
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は57歳女性. 1997年7月胸部X線写真上右中肺野の円形異常陰影指摘され当院紹介受診.精査後悪性も否定しえず,右肺中下葉切除術施行した.術中迅速組織検査にて腺癌と診断されたため,縦隔リンパ節郭清を追加した.永久標本では,肺硬化性血管腫と診断された.免疫組織学的には立方状細胞は, II型肺胞上皮細胞の指標となるsurfactant apoprotein Aに陽性であった.本腫瘍の本態については未だ議論の余地もあるところだが,最近では肺胞上皮由来の良性腫瘍との説が有力で自験例の免疫組織学的検査結果からもこの説が支持された.
  • 御江 慎一郎, 濱津 隆之, 池部 正彦, 井上 文夫
    1998 年59 巻11 号 p. 2783-2788
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは難治性食道静脈瘤に対し噴門部胃切除術,および内視鏡的静脈瘤硬化療法(Endoscopic injection sclerotherapy:以下EISと略す)施行後, portal hypertensive gastropathy (以下PHGと略す)より出血した2例を経験した.
    症例1は, 63歳,女性. 7年前,難治性食道静脈瘤に対し噴門部胃切除術, EIS施行後,外来にて経過観察中,吐血を来たし緊急入院となった.
    症例2は,60歳,女性. 6年前,難治性食道静脈瘤に対し噴門部胃切除術,脾臓摘出術,およびEIS施行後,外来にて経過観察中,治療を必要とする食道静脈瘤の再発を認めたため再度EIS施行目的で入院, EIS施行後翌日,吐血を来たした.
    内視鏡所見では,2例とも食道静脈瘤に明らかな出血点はなく,残胃のPHGよりoozingを認めたため, oozingを来たしていた胃粘膜に対し無水エタノールを注入し止血し得た.
    EIS後にPHGから出血することもありうることが知られており,難治性食道静脈瘤は手術療法およびEISにより静脈瘤の消失が得られても,門脈系の血行動態の変化により静脈瘤以外からの出血もあるため,血行動態の把握,および厳重な経過観察が重要であると思われた.
  • 中島 康晃, 飯田 道夫, 山崎 繁, 高橋 正泰
    1998 年59 巻11 号 p. 2789-2796
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    皮膚筋炎合併胃癌の2例を経験した.
    症例1は, 66歳,男性.露光部皮膚発赤・掻痒感,ならびに下肢筋力低下を主訴に来院. GOT, LDH, CK値の上昇を認めたため,皮膚生検を施行.皮膚筋炎と診断した.悪性腫瘍の検索にて3'型胃癌を認め,手術を行うも広範な腹膜播種像が認められたため,主病巣のみの切除にとどめた.術後,皮膚筋炎症状は改善し,癌性腹膜炎,多発肝転移により死亡するまで,皮膚筋炎症状の再燃は認められなかった.
    症例2は50歳,女性.全身の紅斑,脱力感,嚥下困難を主訴に来院. GOT, LDH, CK値の上昇を認めたため,皮膚生検および筋電図を施行.皮膚筋炎と診断した.全身検索にてN4 (+)の2'型胃癌を認め,手術を行った.主病巣のみの切除にもかかわらず,術後皮膚筋炎症状は改善した.
    主病巣の切除のみで皮膚筋炎症状の改善を認めたという点で特徴的な2症例であった.
  • 加藤 健太郎, 兼古 稔, 林 秀雄, 竹内 克彦, 黒島 振重郎, 加藤 紘之
    1998 年59 巻11 号 p. 2797-2800
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性. ITPの診断を受けステロイドの維持量にて血小板数は良好に保たれていた.今回,早期胃癌にて幽門側胃切除術を施行したがITPの状態が安定していたため脾臓は積極的に温存した.手術後,血小板数は次第に増加しステロイド療法を中止する事ができた.これらの知見からITPを合併した胃癌の手術においては画一的に脾摘を行うのではなく患者の状態,癌およびITPの進行度に応じて適切な治療法を選択することこそ肝要と思われた.
  • 小西 富夫, 矢野 秀朗, 根岸 征示, 渡辺 春子, 元吉 誠, 渡辺 俊之, 森 一博, 木口 英子
    1998 年59 巻11 号 p. 2801-2807
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Cronkhite-Canada症候群に胃癌を合併した興味ある症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は50歳男性.半年前より心窩部痛あり,ついで味覚異常,下痢,脱毛が出現.入院時,皮膚色素沈着,爪甲萎縮,舌の発赤と乳頭萎縮もみられ,心窩部に硬い腫瘤が触知された.胃内視鏡検査で発赤・浮腫状で無茎性の小ポリープが胃全体に密生し,幽門洞部には3型の胃癌が認められた.胃癌を合併したCronkhite-Canada症候群の診断で,幽門側胃切除術を施行.胃癌は高~中分化型腺癌でStage IIIb,ポリープは若年性ポリープ類似の組織像であった.
    胃癌合併例は自験例を含めると本邦では16例の報告があり,非合併例に比べて男性に多く,分化型の早期癌の頻度が高い.胃癌合併率は6.4%とかなり高いので,発症時の精査と厳重な経過観察が肝要と思われた.
  • 芥川 篤史, 森浦 滋明, 秋田 幸彦, 松本 隆利, 永田 純一, 佐々木 英二
    1998 年59 巻11 号 p. 2808-2812
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は46歳の女性で平成5年頃に左乳房腫瘤に気づいたが放置していた.平成8年8月,呼吸困難のため当院内科受診.胸水細胞診にて癌性胸膜炎と診断した.左乳腺腫瘤は鶏卵大で,針生検の結果は乳癌であった.胃内視鏡検査にて胃体中部大彎に軽度のびらんを伴う隆起性病変を認め,生検により乳癌の胃転移と診断した.また腋窩リンパ節転移と多発性骨転移も認めた. CEF療法を2クール施行後原発巣は縮小し,胃転移巣は消失した. 12月13日,非定型乳房切断術を施行し術後26カ月健在である.本邦において臨床的な乳癌胃転移の報告は少なく,検索し得た18例につき,文献的考察を行った.
  • 児島 祐, 金廣 裕道, 楯川 幸弘, 鹿子木 英毅, 中島 祥介, 中野 博重
    1998 年59 巻11 号 p. 2813-2816
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は14歳女性.1年前から血尿を認めnut craker phenomenonにて小児科通院中であった.平成8年2月23日,嘔気,嘔吐を主訴に来院したが,症状改善せず小児科入院.入院2日目に施行した上部消化管造影で十二指腸水平部での造影剤の直線的な途絶が認められ, 3日目に行った腹部US, MRIでは大動脈と上腸間膜動脈との分岐角度は狭小化し,上腸間膜動脈性十二指腸閉塞症と診断した.保存的治療を試みたが通過障害が改善しないので10日目に十二指腸転位術を施行した.術後28日目に退院し,その後順調に経過している.本症例のように,保存的治療が無効で症状が改善しない場合には,外科的治療が必要であり特に生理的通過をもたらす十二指腸転位術は有用な術式と考えられた.
  • 北川 敦士, 重里 政信, 関井 浩義, 野村 尚三, 内藤 泰顯
    1998 年59 巻11 号 p. 2817-2820
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男性.下血からショック状態に陥り当科救急受診.上部消化管内視鏡で十二指腸以下に大量の出血が認められ,経上腸間膜動脈性門脈造影で膵十二指腸静脈に静脈瘤が認められた.十二指腸静脈瘤破裂と診断した.腎機能障害,心筋梗塞を合併し,また大量出血により内視鏡では視野確保が困難なため,手術,内視鏡的治療不可能と判断し硬膜外麻酔下に経回結腸静脈的塞栓術を施行した.止血に成功し治療終了後2年を経過した現在再出血を認めていない.
    経回結腸静脈的塞栓術は比較的侵襲度が低くかつ選択的に静脈瘤供血路を塞栓可能であり, high riskかつ内視鏡的治療,手術が困難な症例に対し有用な方法である.
  • 鈴木 一則, 小西 伊智郎, 広岡 保明, 牧野 正人, 貝原 信明
    1998 年59 巻11 号 p. 2821-2825
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    門脈圧亢進症において消化管出血を来す側副血行路としては食道静脈瘤が最も多いが,小腸静脈瘤破裂による消化管出血は極めて稀であり,診断も容易ではない.今回われわれは,術前診断し得た空腸静脈瘤破裂の症例を経験したので報告する.症例は,経腹的食道離断術の既往を有する25歳男性で,下血を主訴に入院し,上下部消化管精査の結果小腸出血が疑われた.血管造影下ヘリカルCTで空腸から腹壁に連続する静脈瘤が明瞭に描出され,手術所見でも画像診断に一致して空腸壁に静脈瘤を認め,空腸と腹壁との癒着部に側副血行路が形成されていた.空腸切除後は下血なく経過良好である.門脈圧元進症を伴う消化管出血例で,特に開腹術の既往のある症例では,小腸静脈瘤破裂も考慮して検索する必要があると考えられた.
  • 笹原 孝太郎, 加藤 博, 塚田 一博
    1998 年59 巻11 号 p. 2826-2829
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    PTPによる回腸穿孔の1例を経験したので報告する.症例は83歳,男性.脳梗塞の既往があり, 1997年10月7日嘔吐と頻呼吸が出現した.近医の往診を受け,肺炎の疑いで10月12日当院内科紹介,入院となった.10月13日腸閉塞の診断で外科転科となった.腹部CT検査にて腹腔内膿瘍と診断し,局所麻酔下にドレナージ術を施行した.著明な膿瘍の縮小がみられたが膿瘍内異物が残存し,さらに瘻孔造影を含めて異物による小腸穿孔と診断し, 10月29日手術を施行した.終末回腸から約6cm口側にPTPによる穿孔を認め,回腸部分切除を施行した.術後経過良好で1998年1月11日退院となった. PTPはX線透過性であるため小腸以下の穿孔例では術前診断は不可能と言われるが,本症例はCT検査にて小腸末端部に特徴的な異物像が認められた. CT検査による診断の可能性を示唆する貴重な症例と思われ,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 森田 修司, 伊志嶺 玄公, 植木 孝宣, 大島 嘉正
    1998 年59 巻11 号 p. 2830-2833
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    特有の臨床症状がないとされている小腸腫瘍の中で,筋原性腫瘍は下血,貧血で発症することが多い.今回,下血を主訴とし上部および下部消化管に病変をみい出せない患者に,小腸精査のため血管造影を施行して小腸腫瘍の局在診断を得た2例を経験したので報告した.出血源不明の消化管出血では,まず小腸腫瘍の存在を疑い精査を進めることが大切であり,筋原性腫瘍においては血管造影が有用であると思われた.
  • 松田 光弘, 松村 理史, 青沼 宏, 鈴木 正明
    1998 年59 巻11 号 p. 2834-2837
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.腹痛,嘔吐を主訴に来院.腹部所見では上腹部から臍下部正中に限局した膨隆を認め,腹膜刺激症状陽性であった.また,腹部単純X線検査では膨隆部に一致して拡張した結腸ガスとその右側上方より連続する少量の小腸ガス像を認めた.以上の所見より盲腸軸捻転症を強く疑い緊急手術を行った.開腹時,回盲部は時計方向に180度捻転し,回腸末端から上行結腸の一部に拡張と出血壊死を認めたため右結腸切除術を施行した.
    本症例は比較的まれな疾患で,術前診断は困難なことが多い.イレウスを診た場合は腹部単純X線写真などを参考に本症例も念頭に置くことが重要であると思われた.
    今回われわれは盲腸軸捻転症の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 平 成人, 曽我 浩之, 小島 茂嘉
    1998 年59 巻11 号 p. 2838-2840
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    超高齢者に生じた,盲腸軸捻転症の1例を経験した.症例は85歳,女性.腹部膨満を主訴に来院した.腹部単純X線像にて左下腹部から骨盤部に腎臓様形態をした巨大腸管ガス像を認めた.腹部CT像では,鏡面像を有する拡張腸管により圧迫されたS状結腸像を同定でき, S状結腸より口側大腸の軸捻転症を疑った.開腹したところ,盲腸および上行結腸は後腹膜との固定性がなく,腸間膜を軸として,時計方向に360度捻転し著明に拡張していた.腸管壊死所見はなく,盲腸固定術を施行し,減圧を目的として盲腸内にイレウス管を留置した.術後は順調に経過した.盲腸固定術に先立ち,拡張腸管を虚脱させること,および盲腸内へのイレウス管留置が本術式を安全に施行し,術後早期に腸管の蠕動運動の改善を得るうえで,重要と考えられた.今後,高齢化社会を迎え,本症に遭遇する機会が増えると思われる.
  • 高橋 節, 大谷 真二, 角 賢一, 村田 陽子, 衣笠 陽一, 浜副 隆一
    1998 年59 巻11 号 p. 2841-2844
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    虫垂杯細胞カルチノイドの1例を経験したので報告した.症例は48歳男性で主訴は右下腹部痛.術前には急性虫垂炎と診断し虫垂切除術を施行した.肉眼的には切除虫垂内には腫瘍は認められなかったが,術後病理組織学的所見で杯細胞カルチノイドと診断された.このため術後22日目に右半結腸切除術を施行した.再手術時切除標本内には残存腫瘍は病理組織学的にも認められなかった.術前に本症と診断することは困難なことが多く本邦報告例でも術前に杯細胞カルチノイドと診断された症例はない.確定診断は術後の病理組織学的診断によってなされるため虫垂炎においても切除虫垂を組織学的に検索することが重要と考えられた.本腫瘍の悪性度はいわゆる通常の虫垂カルチノイドと腺癌の中間的な性格と報告されているが,手術術式や再手術の適応など治療方針はまだ確立されていない.今後の症例を集積して検討する必要がある.
  • 冨田 隆, 勝峰 康夫, 久留宮 隆, 久瀬 雅也
    1998 年59 巻11 号 p. 2845-2849
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    成人腸重積の先進部は腫瘍性疾患が多いが,今回腸結核が原因と考えられる症例を経験したので報告する.症例は60歳,女性.腹痛,嘔吐と下血を主訴に来院,腹部超音波検査でmultiple concentric ring sign,腹部CTでも同心円状の層状構造をしめすtargetsignを認め,腸重積症の診断で手術を施行した.回結腸型腸重積と腸管膜リンパ節の腫大を認め,悪性疾患が否定できないため腸重積の解除は行わず,D2郭清を伴う回腸結腸部分切除を行った.切除標本では腸重積の先進部は回腸で,長径7cmにわたり全周性の粘膜肥厚性の病変が回腸末端にあり,組織学的にラ氏型巨細胞と乾酪壊死を伴う肉芽腫が認められ,他に結核の合併はなく原発性腸結核と判定された.腸重積の診断は腹部超音波やCTにより比較的容易であるが,その原因疾患の診断は困難なことがある.適切な術式の選択には可能なかぎり原因の質的診断を行うよう心掛けることが重要である.
  • 内藤 明広, 川原 勝彦, 岩田 宏, 田那村 牧
    1998 年59 巻11 号 p. 2850-2854
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は1993年6月より血液透析施行中の57歳,男性で,腹痛,腹満によるショック状態で入院.腹部単純X線写真およびCTで腸管の拡張,大腸内視鏡で結腸粘膜の壊死を認め,壊死性虚血性腸炎による腹膜炎と診断,緊急手術となった.手術時,広範囲の大腸の壊死と回腸の部分的壊死を認め,回盲部口側10cm切除を伴う大腸亜全摘を行った.術後は高気圧酸素量法 (hyperbaric oxygen therapy: HBO) を施行,経口摂取可能なまでに回復したが,術後2カ月目に心筋梗塞で死亡した.一般的に透析患者の虚血性腸炎は予後不良であるが,本症例のように外科手術および術後HBOが有効であった壊死性虚血性腸炎の存在が証明された.
  • 大島 郁也, 尾崎 正彦, 有我 隆光, 丸山 尚嗣, 木下 弘寿, 大月 和宣
    1998 年59 巻11 号 p. 2855-2858
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    門脈ガス血症(Hepatic portal venous gas)は比較的稀であるが,重篤な状態を示す徴候の1つと言われている.われわれは,門脈ガス血症と腸管気腫症 (pneumatosis cystoides intestinalis) を呈した壊死性腸炎の1例を経験したので報告する.
    患者は71歳,男性.急激な腹痛と嘔吐で発症した.腹部単純X線検査,腹部超音波検査,腹部CT検査で,肝内ガス像を認め,緊急開腹術で,壊死腸管切除し救命し得た.
    門脈ガス血症は腸管壊死の可能性を示唆しているため,イレウス状態に門脈ガス血症が認められた場合には,緊急開腹術の絶対適応であると考える.また,診断においてはCT検査が特に重要であると考え,腸管壊死が疑われる急性腹症では門脈ガス血症の存在を念頭にいれて,描出に心がけるべきである.
  • 中村 文隆, 道家 充, 成田 吉明, 宮崎 恭介, 松波 己, 加藤 紘之
    1998 年59 巻11 号 p. 2859-2863
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    盲腸癌による腸重積の1例を報告し,文献的考察を加えた.症例は90歳女性で,右下腹部痛を主訴に当院入院となった.右下腹部に可動性のある手拳大の腫瘤を触知し,超音波検査,腹部CT,大腸内視鏡,注腸造影にて盲腸癌による腸重積症と診断された.手術が行われ,開腹すると横行結腸にまで達する回結腸型の腸重積が認められた.リンパ節郭清を伴う回盲部切除術が行われた.組織学的には,中分化型腺癌で, ss, n (-), ly0, v1, stage IIであった.成人腸重積症は小児に比べ比較的稀である.しかし,悪性腫瘍に起因するかどうかは重要であり,早期確定診断が肝要である.また,自験例を含む本邦における盲腸癌による腸重積症の報告例18例を集計し,その臨床的特徴を検討した.
  • 猪川 弘嗣, 中村 栄秀, 林 剛, 内田 剛史, 山田 省一, 淡河 秀光
    1998 年59 巻11 号 p. 2864-2867
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    colitis cystica profundaは,粘膜下層への良性大腸粘膜の迷入と粘液瘤の形成を特徴とする極めて稀な良性疾患である.今回われわれは,限局型colitis cystica profundaの1例を経験したので報告する.症例は,26歳,男性.下血を主訴として外来を受診した.精査のため施行した大腸内視鏡検査にて,肛門縁から5cmの直腸の前壁から右前方にかけて広基性で中央に陥凹を伴い,送気量によって高さが変化する柔らかな隆起を認めた.内視鏡下生検では,高分化型粘液癌が完全には否定できず,経肛門的腫瘤全切除生検にて診断が確定した.
  • 大貫 義則, 神谷 隆, 石原 康守, 井田 勝也
    1998 年59 巻11 号 p. 2868-2873
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Crohn病の治療には薬物療法,手術療法,栄養療法などが行われ,なかでも経腸栄養療法の有用性が指摘されている.成分栄養剤だけでなく,半消化態経腸栄養剤の有用性も指摘されているが,長期使用の報告例は少ない.われわれは,小腸大腸型のCrohn病で,回腸穿孔性腹膜炎の術後,緩解期から在宅において,脂質特に中鎖脂肪(MCT)の含有量が多い消化態経腸栄養剤を中心とした在宅経腸栄養療法によって現在まで約3年間,炎症反応の正常化とその維持,自覚症状の消失,良好な栄養状態の維持や体重増加が認められ,再燃なく社会復帰している症例を経験している.消化態経腸栄養剤に含まれる低分子ペプチドやMCTは消化吸収の点で優れており,本症例の栄養管理にこれらを含む消化態経腸栄養剤が有用であったと考えられた.
  • 宮下 澄人, 水口 直樹, 武田 正人, 柴田 裕, 水沢 広和
    1998 年59 巻11 号 p. 2874-2876
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は66歳の男性.主訴は特になく,大腸ポリープのfollow upとして施行した注腸造影にて病変を指摘され,当科紹介となった.注腸造影検査では左結腸曲近傍の横行結腸に分節状の隆起性病変を認めた.大腸内視鏡検査にて,横行結腸遠位部に表面平滑で白色調の正常粘膜に覆われただるま状の隆起性病変を認めたため,横行結腸切除術を施行した.腫瘍は2.0×1.8cm大で,病理組織学的検索の結果,粘膜下層から表層にかけてnon-Hodgkin Iymphoma, B cell type, follicular medium cellが認められ, Stage IIAであった.術後化学療法を施行し,外来にて経過観察中であるが現在まで再発の兆候は認めない.
  • 河島 秀昭, 山崎 左雪, 原 隆志, 石後岡 正弘, 広利 浩一, 細川 誉至雄
    1998 年59 巻11 号 p. 2877-2881
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    われわれは,下部直腸に発生した非特異性炎症による直腸狭窄の1切除例を経験したので報告する.症例は52歳男性.糖尿病性昏睡にて1995年12月9日入院となった.一般状態は不良で,体温は38度,腹部に所見は無い,第10病日より下痢便が出現し,その後次第に排便困難を訴えるようになった.抗クラミジア抗体は陽性であった.また他の便培養は陰性,アメーバーや虫卵は認めなかった.梅毒反応陰性であった.注腸造影では下部直腸に全周性の狭窄を認めた.大腸内視鏡では,浅い潰瘍と顆粒の集籏を認めた.穿刺生検で腫瘍細胞は証明されず,非特異的炎症による直腸狭窄の診断で手術を行った.直腸肛門吻合をおこない一時的人工肛門を造設した.術後2年経過した現在再発の兆候はない.
  • 西堀 英樹, 土橋 誠一郎, 篠原 央, 朝戸 裕, 下山 豊, 古田 一徳, 栗原 直人, 壁島 康郎, 向井 美和子
    1998 年59 巻11 号 p. 2882-2886
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    管外型発育を呈した稀な肛門管原発未分化癌の1例を経験したので報告する.症例は81歳,男性.便秘,便柱狭小を主訴に当科を紹介された.直腸指診で肛門縁より約5cmに全周性の狭窄を認め,可動性不良の硬結を触知した.大腸内視鏡検査では肛門縁より3~6cmに全周性の狭窄を認めたが,粘膜面の変化に乏しかった.大腸内視鏡下粘膜切除術および経肛門的針生検による病理組織学的検査では確定診断がつかず,腹会陰式直腸切断術を施行した.切除標本では,腫瘍細胞が肛門管の移行上皮部から下部直腸にかけて粘膜下層から管外性,び慢散在性に分布し,各癌型のいずれに向かっても分化を示さなかった.免疫・特殊染色により非上皮性腫瘍や低分化型腺癌,低分化型扁平上皮癌は否定され,未分化癌と診断した.またこの腫瘍は,とくに肛門管で外括約筋への浸潤が顕著な管外型発育を呈していたこと,およびその組織型より肛門管原発であると考えられた.
  • 坂巻 靖, 折山 毅, 神野 浩樹, 大橋 秀一
    1998 年59 巻11 号 p. 2887-2890
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性. 1997年8月の腹部超音波にて肝S8の約8cm大の嚢胞と肝両葉に散在する小嚢胞を認め,経過観察中であったが,同年11月,発熱と右季肋部痛のため入院となった.画像所見よりS8の肝嚢胞の感染と診断した.超音波ガイド下に感染肝経快嚢胞を穿刺ドレナージし,症状軽癌の後嚢胞造影を施行したところ,嚢胞と交通する末梢胆管が造影された.その後は嚢胞縮小を得ず,手術適応と診断し,同年12月に感染嚢胞を含めた肝亜区域切除術を施行した.術後4カ月の現在に至るまで,症状の再発無く経過良好である.感染肝嚢胞に対する手術の本邦報告例は少ないが,本例の如く胆道系との交通をもつ症例では,再感染の可能性があり,肝切除を含め早期に手術を検討することが治療法の選択上重要であると考えられた.
  • 須藤 幸一, 石山 秀一, 布施 明, 久津 裕, 浦山 雅弘, 五十嵐 幸夫, 平井 一郎
    1998 年59 巻11 号 p. 2891-2894
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,女性. 6歳時に黄疸にて当院に入院.肝機能障害,脾腫,食道静脈瘤を指摘され,特発性門脈圧充進症と診断された.以後,外来通院していたが,平成9年6月5日より左季肋部痛が出現し今回の入院となった.内視鏡的逆行性胆管膵管造影にて膵管に胆管が合流する型の合流異常を認めた.腹部CTでは脾腫と肝門部にcavernous transformationを認め,腹部血管造影では肝外門脈に狭窄が認められた.肝外門脈狭窄による門脈圧亢進症,膵胆管合流異常症の診断にて,平成9年9月24日手術を施行した.脾摘出,胆嚢摘出,肝外胆管切除後,門脈狭窄部を切開すると,内腔には線維性輪状の膜様狭窄を認めた.狭窄部を切除術,摘脾後の脾静脈片から採取したパッチを用いて門脈を形成した.門脈圧は開腹直後39cm H2Oから門脈形成後19cm H2Oと減少した.病理組織学的には膜様狭窄部は膠原線維からなり,弾性層は一方向性弁様で先天性のものと診断された.
  • 今津 浩喜, 船曵 孝彦, 落合 正宏, 桜井 洋一, 松原 俊樹, 長谷川 茂, 溝口 良順, 黒田 誠
    1998 年59 巻11 号 p. 2895-2901
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例49歳,女性.右乳癌にて胸筋温存乳房切除術の既往があり術後経過観察中左鎖骨上窩リンパ節腫大とCEA上昇を認めた.腹部超音波検査上脾門部に径8cm大echolevel不均一なmassを認め精査目的入院.腹部CTで脾臓に14×10×8cm程のmassを認め,造影効果を伴うも正常脾と比較しIow density,腹部MRIで,脾実質と比較しT1強調像上等信号から軽度の低信号, T2強調像で高信号域を伴う低信号, Gd-DTPA T1強調像は動脈優位相で低信号,平衡相で軽度高信号なmassであった.血管造影ではhypovascular tumorであった.画像診断上脾原発よりも転移性腫瘍と診断,脾摘出術施行.切除標本上脾は580gで腫瘍は10×8×6cm大,黄白色で正常脾との境界明瞭.病理組織学的所見にて形質細胞やリンパ球の浸潤を伴う膠原線維の増生を主体とし,血管炎の所見や悪性腫瘍を思わせる細胞も認められずinflammatory pseudotumorと診断した.
  • 木村 圭一, 井戸 弘毅, 利光 鏡太郎, 佐藤 知洋
    1998 年59 巻11 号 p. 2902-2905
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    比較的稀な遅発性脾破裂を2例経験したので報告する.症例1は21歳の男性で,自損事故によるハンドル外傷後27日目に腹痛が出現したため,当院を受診した.大量の腹腔内貯留液と脾上極に損傷部を認め,遅発性脾破裂と診断した.血行動態は安定していたため,保存的に治療を行い,第16病日に特に合併症なく退院した.症例2は29歳の男性で,高所より転落し,急性脾破裂と左腎破裂のため保存的治療中であった.第7病日に突然腹痛が出現し,腹腔内貯留液の増量を認めたため,遅発性脾破裂と診断した.血行動態は安定していたため,保存的治療を開始したが, 5時間30分後に腹腔内貯留液がさらに増量したため,手術を施行した.脾下極に深い損傷部を認め,脾摘出術を施行した.術後経過は良好で,術後21日目に退院した.
    遅発性脾破裂は外傷の既往が明らかでないこともあり,手術を受けることが多く,保存的治療の報告例は少ない.急性脾破裂と同様に保存的治療が可能であるが,その適応は慎重にすべきである.
  • 星野 和男, 仲村 匡也, 田中 俊行, 小林 純哉, 森下 靖雄
    1998 年59 巻11 号 p. 2906-2908
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    右卵管采の部分絞扼壊死の稀な症例を経験したので報告する.症例は右下腹痛を主訴とする13歳,女児.持続する右下腹痛のため,虫垂炎疑で入院となった.発熱,白血球増多はなかった.右下腹の狭い領域に強い限局性圧痛がみられたが,腹痛が強い割に腹部所見が軽い事が特徴的だった.抗生物質の投与で経過観察下におかれたが,下腹痛は増強し,虫垂炎の診断で開腹手術した.虫垂は正常で,右卵管采のヒゲの1本が卵管と癒着してループを形成し,その輪の中に近傍の卵管采のヒゲ3本が入り込み絞扼壊死に陥っていた.壊死部を切除して手術を終了した.本疾患の病因である癒着の原因は不明だが,先天的な癒着によるものと推測された.術前診断は極めて困難であるが,女子の虫垂炎では本疾患を考慮にいれた附属器精査が必要と考える.
  • 小橋 俊彦, 丸林 誠二, 片岡 健, 杉野 圭三, 八幡 浩, 浅原 利正, 土肥 雪彦
    1998 年59 巻11 号 p. 2909-2912
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は25歳女性.不随意運動と全身痛にて近医通院中,多毛,変声,ざ瘡,月経不順を来たし,当院内科に入院となる.腹部CT, USにて左副腎に径5cm大の腫瘍を認め,内分泌検査にてandrogen産生腫瘍を強く疑い,当科紹介となった.腫瘍は表面平滑で周囲への浸潤を認めなかったが,嚢胞を伴い,病理組織検査の結果,副腎皮質癌と診断した.思春期以降に生じる男性化を来たす副腎皮質癌は比較的稀であり,自験例は調べたかぎりでは本邦15例目であった.副腎皮質癌は予後不良のものが多く,外科的切除後も厳重な経過観察が必要と考えた.
  • 壁島 康郎, 栗原 直人, 町村 貴郎, 朝戸 裕, 篠原 央, 下山 豊, 古田 一徳, 古川 俊治, 西堀 英樹, 土橋 誠一郎, 根本 ...
    1998 年59 巻11 号 p. 2913-2916
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    完全内臓逆位症に合併した褐色細胞腫の1例を経験した.症例は49歳の女性.嘔気・頭痛を主訴として精査目的で入院した.入院時胸部X線写真にて右胸心が認められた.腹部超音波検査・腹部CT検査にて完全内臓逆位,および,右副腎に約6cm大の腫瘤が認められた. MIBGシンチグラムで右副腎に一致する部位に異常集積がみられた.入院後,著明な血圧変動があり,尿中カテコールアミンは高値を示していた.以上から,右副腎褐色細胞腫および完全内臓逆位症の診断にて右副腎摘出術を施行した.手術所見では完全内臓逆位症のため腹腔内臓器は鏡面像を呈しており,右副腎に約6cm大の腫瘤が認められた.摘出標本は大きさ5.5×6.0×5,0cm,重量116.45g,充実性褐色腫瘤であった.完全内臓逆位症と褐色細胞腫の合併例は報告がなく,本症例が初例であるため報告した.
  • 中川 国利, 鈴木 幸正, 桃野 哲
    1998 年59 巻11 号 p. 2917-2920
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    過去13年間に,腸膀胱瘻6例を経験したので報告する.年齢は平均62.7歳で,男性4例,女性2例であった.主訴は糞尿5例,血尿1例で,病悩期間は2カ月以内であった.術前検査では,注腸造影検査にて2例で腸膀胱瘻が造影された.また膀胱鏡検査では全例で糞便を,さらに1例では瘻孔からの排便を認めた.腹部CT検査では,全例で膀胱内に空気を認めた.以上の諸検査から,全例で腸膀胱瘻と術前診断した.またその原疾患として,直腸癌3例, S状結腸憩室炎2例,放射線治療1例と診断した.手術は,直腸癌症例では骨盤内臓器全摘除術2例および膀胱部分切除を伴う直腸前方切除術1例を行った. S状結腸憩室炎症例では膀胱部分切除を伴うS状結腸切除術を行った.放射線治療症例では著明な骨盤内癒着を認めたため,単に人工肛門を造設した.人工肛門を造設した例を除く他の5例では,腸膀胱瘻は治癒した.
  • 山口 紀子, 伊藤 勇, 野崎 泰宏, 宮地 和人, 砂川 正勝, 正和 信英
    1998 年59 巻11 号 p. 2921-2925
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性. 5年前からの腹部重圧感を主訴に平成9年5月に受診した.腹部に椎体を越えて左右に移動する小児頭大の腫瘤を触知した.腹部超音波検査で臍上部に境界明瞭で内部はやや高信号を示す充実性の腫瘤が認められた.腹部CT検査では左側腹部に等吸収域の約11.0×8.7cmの腫瘤がみられ,造影で強く増強された. MRでは, T1強調画像で腫瘤は筋と等信号を示し, T2強調画像で不均一な高信号として認められた.画像診断としては平滑筋肉腫が疑われた.同年7月に腸間膜または大網原発肉腫の疑いで手術を行った.大網内に15×10cm大の腫瘍を認め,大網および胃部分切除を施行した.病理組織学的に大網原発多形型脂肪肉腫と診断された.
  • 藤社 勉, 遠藤 秀彦, 佐藤 武彦, 八島 良幸
    1998 年59 巻11 号 p. 2926-2929
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎の1例を経験したので報告する.症例は72歳女性.リウマチ性多発筋痛症の増悪のため当院入院中,下腹部痛を自覚.下腹部を中心に筋性防御を認め,下部消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断のもとに手術を施行した.開腹すると消化管に異常はなく,子宮底部に穿孔部位があり膿汁の流出を認めたため,子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,子宮全摘術および腹腔ドレナージ術を施行した.病理組織学的に,子宮には悪性所見を認めなかった.高齢女性,特に活動性の低い患者の汎発性腹膜炎の場合,本症も鑑別診断として考慮されるべきと思われる.
  • 長谷川 久美, 川合 重夫, 久米 進一郎, 仁瓶 善郎, 杉原 健一
    1998 年59 巻11 号 p. 2930-2934
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Crohn病による穿孔性腹膜炎の1例を報告する.症例は35歳男性. 25歳時Crohn病と診断され,当院内科通院中であった.平成8年4月からは5-アミノサリチル酸投与,およびElemental Diet療法を行っていた.平成9年1月7日より腹痛が出現し近医で消炎鎮痛剤の投薬を受けた. 14日深夜より症状が急に増強したため当院緊急入院. 16日単純X線でfree airを認め,穿孔性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.小腸壁は全長にわたり発赤浮腫状で,腸間膜および腸間膜側の腸管壁が著明に肥厚していた.トライツ靱帯より230cmの回腸腸間膜側に穿孔を認め,同部を含めた回腸20cmのみを切除し,口側断端は腸瘻とした. 5カ月後に腸瘻を閉鎖した. Crohn病変部を大部分残して最小範囲のみ切除し良好な結果を得た.
  • 金森 豊, 北堀 和男, 橋都 浩平
    1998 年59 巻11 号 p. 2935-2939
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は2カ月の女児で,腹満を主訴に入院した.入院時には,腹満に起因する嘔吐と経口摂取不良から誤嚥性肺炎と低栄養,貧血を合併していた.腹部CT, MRI検査から嚢胞成分,石灰化,脂肪組織の混入などを認める腫瘤と判明し,後腹膜原発の奇形腫と診断された.肺炎の治療,輸血,経鼻胃管からのミルク持続注入による栄養補給,等を行い全身状態の改善を速やかに得て根治手術を行った.手術時も,開腹までは十分な換気が得られず麻酔の維持に難渋したが,開腹により急激な換気の改善が得られ手術は無事に終了した.術式は腫瘍全摘を行い,摘出標本は病理検索の結果未熟奇形腫であった.乳児後腹膜奇形腫は巨大な腫瘤として診断されることが多く腹満に起因する様々な合併症を起こして全身状態が不良のことが多い.そのため,可及的速やかに全身状態の改善を図り手術治療を行うべきで,手術中も呼吸状態が不安定で麻酔管理に十分な注意が必要である.
  • 山口 和也, 西尾 公利, 石原 和浩, 北村 文近, 石川 亨, 山本 悟, 渋谷 智顕, 樫木 良友
    1998 年59 巻11 号 p. 2940-2944
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    子宮全摘を契機に発見された後腹膜黄色肉芽腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は41歳女性.子宮筋腫に対し膣式子宮全摘出術を施行されたが,退院後に発熱をきたし精査目的で再入院した.精査結果,腹腔内膿瘍と診断され経膣的にダグラス窩ドレナージ術を受け,徐々に解熱した.しかし, CT検査で後腹膜腫瘍を指摘され,手術目的で当科へ入院した.開腹所見で,回盲部を左側へ圧排し正中から右側の後腹膜に存在する23×13×6cm大の腫瘍とこれに連続する径10cmの嚢胞を左側腹腔内に認め共に全摘した.病理組織学的には黄色肉芽腫と診断された.術後2年を経過した現在再発所見は認めていない.
  • 久保 義郎, 栗田 啓, 高嶋 成光, 多幾山 渉
    1998 年59 巻11 号 p. 2945-2949
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃癌と腎細胞癌との同時性重複癌2例を経験したので報告する.いずれも胃癌の術前検査で行ったCT,超音波検査にて偶然に腎癌が発見された. 2症例とも胃癌は早期胃癌で,腎癌は腎に限局し,一期的に根治術が施行できた.ともに術後5年の現在,再発の徴候はなく健在である.一般に,腎細胞癌は無症状なことが多く早期発見が困難である.胃癌と腎細胞癌との重複癌の頻度は少ないが,胃癌の術前検査や術後の経過観察においてCTや超音波検査を行うときには,腎との重複癌も念頭にいれ検索すべきと思われた.
  • 天谷 奨, 平野 誠, 村上 望, 花立 史香, 野澤 寛, 橘川 弘勝
    1998 年59 巻11 号 p. 2950-2954
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.平成4年6月,大腸内視鏡検査にて直腸S状部に, 2型の中分化腺癌を指摘され入院となった.腹部超音波, CT検査にて肝S8に4cm大の腫瘤を指摘された.血液検査にて肝機能障害はなく, AFPは正常で, CEAが39ng/mlと高値を示し,また肝炎ウイルスも陰性であったことから大腸癌の肝転移と診断し,直腸高位前方切除術および肝部分切除術を施行した.術後,大腸と肝臓の同時性重複癌と診断された.術後5年を経過し再発の兆候は認めていないが,消化管の悪性腫瘍に肝病変が併存する場合は,原発性肝癌も考慮し,診断治療にあたることが肝要であると考えられた.
  • 島田 友幸, 菅谷 博子, 石田 和人, 吉村 堅太郎, 西山 宗一郎, 寺島 秀夫, 中島 芳道, 平山 克
    1998 年59 巻11 号 p. 2955-2958
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒトイヌ糸状虫症の1例を経験したので報告する.症例は, 44歳,男性.左前胸部に可動性良好,弾性硬な腫瘤を認め,局所麻酔下に摘出した.組織学的に変性した線虫の断端と異物肉芽を認めた.虫体断端の計測値は, 87.5×295μmから143×345μmであった.角皮は厚く15~20μmで, 3~4層からなり,外縦走隆起を認めない.側索部には内縦走隆起を認めた.虫体は変性が激しいため,角皮下層,筋層,消化管や生殖器は分別ができなかった.虫体の寄生部位,形態学的特徴,計測値から,イヌ糸状虫の幼若虫と判定した.本症例はわが国における皮下組織寄生のヒトイヌ糸状虫症の14例目である.
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