日本臨床外科学会雑誌
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胆管内ガス像を伴った気腫性胆嚢炎の1例
水野 修吾須崎 真伊藤 史人梅田 一清
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1998 年 59 巻 12 号 p. 3113-3117

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抄録

症例は73歳女性.主訴は右上腹部痛.来院時Murphy徴候を認め,血液検査では白血球11,100/mm3, CRP 5.1mg/dlと炎症所見を認めたが,肝機能異常は認めなかった.画像診断では腹部単純X線写真で肝内に樹枝状透亮像,腹部超音波検査では胆嚢の腫大,壁肥厚,底部にstrong echoを呈し, CTでは胆嚢内と肝内胆管内にガス像を認めた.以上より気腫性胆嚢炎と診断したが,高血圧,心房細動, sick sinus syndromeの既往があり,術前の心機能評価を要するため,緊急手術を避けPTGBDを施行. 12日後に胆摘,総胆管切開Tチューブドレナージ術を施行した.胆嚢内に2mm大の黒色石を3個認め,病理組織所見では胆嚢壁に出血,壊死と散在性の空胞を認める壊疽性胆嚢炎であった.
自験例を含む胆管内ガス像を伴った気腫性胆嚢炎の本邦報告は14例で死亡例はなく,適切な処置を行えば胆管内ガス像の有無は予後に影響しないことが示唆された.

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