1998 年 59 巻 12 号 p. 3200-3204
症例は70歳,男性.検診で貧血を指摘され,当院を受診した.精査の結果,人工肛門癌,横行結腸癌,胃粘膜下腫瘍が認められ,手術を施行した.手術は人工肛門部腹壁を含む左半結腸切除および,胃部分切除が施行された.病理組織学的検査にて人工肛門部および横行結腸の病変はいずれも浸達度ssの高分化型腺癌でリンパ節転移はなかった.また胃の腫瘍は,胃固有筋層より壁外性に増大した平滑筋肉腫であった.人工肛門癌は今までに34例が報告されているが,基礎疾患にmalignant potentialを有する症例が多い.自験例もJapanese clinical criteriaではLynch 2型の遺伝性非ポリポーシス大腸癌であった.