日本臨床外科学会雑誌
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10年以上経過した魚骨の横行結腸穿孔による腹腔内炎症性腫瘤の1例
南部 弘太郎佐藤 薫隆為我井 芳郎今井 茂内山 正一渋谷 哲男
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1998 年 59 巻 2 号 p. 423-427

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抄録

10年以上に及ぶ原因不明の腹壁腫瘤を魚骨の横行結腸穿孔による腹腔内炎症性腫瘤と術前に診断しえたので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は74歳の男性,主訴,腹痛.来院時所見,臍左上部に圧痛を伴う腫瘤を触知.血液検査では白血球の増多とCRPの上昇を認めた.腹部CTおよび超音波にて,直径約5cmの腫瘤とその中心部に線状の高吸収域を認めた.注腸検査では,横行結腸中部に伸展不良部位を認め,大腸内視鏡検査で腫瘤部位直下に横行結腸粘膜のfoldの腫脹,発赤を認めた.以上の所見と患者が魚類を頻回に摂取していた事より魚骨の横行結腸穿孔による腹腔内炎症性腫瘤の診断で手術を施行した.手術所見では大網に腫瘤の形成を認め横行結腸,空腸,腹壁に癒着していた.腫瘤を摘出し内部に約2.5cmの魚骨を認めた.術後経過は良好で12日目に退院した.原因不明の腹部腫瘤を認めた時,腹腔内異物の可能性も念頭におく必要があると思われた.

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