日本臨床外科学会雑誌
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集学的治療が有効であった肝硬変合併進行肝細胞癌 (stage IV-A) の1例
松岡 伸一服部 優宏斉藤 正信真鍋 邦彦秦 温信佐野 文男
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1998 年 59 巻 2 号 p. 487-491

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抄録

肝硬変を合併したstage IV-Aの肝細胞癌に対し集学的治療を行い,有効であった1症例を経験したので報告する.
症例は60歳男性で,糖尿病のため近医通院中に肝腫瘍を発見され,平成7年2月当科に入院となった.肝予備能は低下しており,臨床病期IIであった. CT上,肝外側区,内側区,前区に計4個の腫瘍を認めた.血管造影では外側区の腫瘍のみ血管に乏しく,他は腫瘍血管に富んでいたが,針生検の結果は外側区の腫瘍も肝細胞癌であった.外側区域切除術を施行し,残存腫瘍に対してTACEを10回, PEITを5回定期的に繰り返し,初診後2年7カ月間良好に経過している.
肝予備能が不良であり,また腫瘍が両葉に多発するため切除不能な症例であったが,減量手術およびTACEなどの集学的治療を行い,有効であったので報告した.

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