日本臨床外科学会雑誌
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回虫を核とした総胆管内コレステロール結石の1例
重政 有初瀬 一夫青木 秀樹岩本 一亜玉熊 正悦望月 英隆赤尾 信吉勝然 秀一長谷 和生
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1998 年 59 巻 2 号 p. 492-495

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抄録

胆道内で死滅した回虫を核とした回虫結石を手術的に摘出しえた症例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は38歳,男性.主訴は心窩部痛,悪心. ERCPにて総胆管内に虫体様陰影欠損を認めたため,胆道回虫症を疑い駆虫剤を投与したが,虫体・崩壊物の排出は認めなかった.その後心窩部痛を繰り返したため保存的治療は困難と考え,再度ERCPを施行し前回と同様の陰影欠損を確認した後,開腹術を施行した.胆嚢内に結石を1個,また総胆管内に紡錘型,表面は白色,内部は褐色の結石を2個認め,胆嚢摘出・総胆管切開・載石術を施行した.光学顕微鏡像より結石内部に筋層,角皮の構造を認め,雌の成虫と確認された.一方,回虫結石の分析ではコレステロール結石であった.文献的に回虫結石症の結石はほとんどがビリルビン系であり,本症例は極めて稀な症例であった.

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