日本臨床外科学会雑誌
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von Recklinghausen病に合併した大網原発巨大平滑筋肉腫の1例
島田 謙横田 等西山 保比古泉家 久直吉田 宗紀比企 能樹柿田 章
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1998 年 59 巻 2 号 p. 545-551

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抄録

症例は28歳女性で,呼吸困難を主訴に近医を受診し,左側胸水と腹腔内腫瘤を指摘され,精査目的にて当院を受診した.術前の画像診断では腫瘤の質的診断はできなかったが,von Recklinghausen病を合併していたことから腹腔内悪性神経鞘腫を疑い,手術を施行した.手術所見では腫瘤は大網より発生し,胃に直接浸潤していたが,胃を部分切除することで根治的に切除し得た.切除標本は29×24×10cm, 4,800gで腫瘍は殆ど偽被膜に覆われており,切除断端は陰性であった.病理組織学的には平滑筋肉腫で,術中所見と併せて大網原発であると考えられた.
大網原発平滑筋肉腫は稀な疾患で,今までに本邦で29例が報告されている.自覚症状に乏しく,臓器特有の症状が無いため,術前診断は困難である.治療には転移巣や浸潤臓器を含めた充分な外科的切除術が必要である.

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