抄録
68歳,女性. 1994年10月26日,子宮癌検診を受診したところ,左下腹部に手拳大の腫瘤を指摘されたため,精査加療目的で入院した.腫瘤は弾性硬,凹凸不整であり,軽度の可動性が認められた.腹部CT, MRIで左下腹部に手拳大の充実性腫瘤が認められた.注腸造影では特に異常を認めなかった.腸間膜腫瘍を疑い,手術を施行した. S状結腸間膜に手拳大の腫瘤を認め,腫瘤とともにS状結腸約20cmを合併切除した.腫瘍は,凹凸不整,充実性で線維性被膜に被われ,組織学的に平滑筋肉腫と診断された.本邦におけるS状結腸間膜原発性平滑筋肉腫症例は現在までに自験例を含めて10例が報告されているにすぎず,まれな疾患である.本症に対しては化学療法や放射線治療は効果がないとされ,積極的に外科的切除を行うことにより,予後が向上すると考えられた.