肺切除術後患者における開腹手術18例を経験したので報告する.肺切除術は一側肺全摘術2例,肺葉切除術15例,肺区域切除術1例で,開腹手術は右開胸開腹胸部食道全摘術,膵頭十二指腸切除術,胃亜全摘術などであった. 18例中8例(44.4%)に術後合併症を認め,呼吸器合併症3例,循環器合併症4例などであった.そのうち3例が術死したが,いずれも緊急手術例または全身状態不良症例であった.しかし,気道内清浄化,呼吸訓練等の術前準備を徹底した待機手術においては,一側肺全摘術後患者の膵頭十二指腸切除術,胃亜全摘術や,左肺上葉切除術後患者の右開胸開腹胸部食道全摘術においても重篤な合併症もなく経過良好であった.肺切除術後患者においても的確な術前評価を行い,気道内清浄化,呼吸訓練などの術前準備を徹底し慎重な周術期管理を行えばmajor surgeryも可能であった.また,術後は循環器合併症のリスクも高くなる可能性が示唆された.