日本臨床外科学会雑誌
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胃癌ステージ分類の問題点-リンパ節転移個数分類はリンパ節転移程度の分類に変わりうるか-
本田 一郎渡辺 敏永田 松夫藤田 昌宏
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1208-1213

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抄録

胃癌の進行程度(以下ステージ分類)は1993年の改訂で大幅に変更された. D4郭清を元にした新しいステージ分類は,一部の積極的な施設を除いて,運用は困難な状況にある.欧米では, D2郭清さえも疑問の声が出ている.本論文は現行,旧ステージ分類と,リンパ節転移の程度を,リンパ節転移個数に置き変えた旧ステージ分類とを比較検討した.転移個数を0個, 1~5個, 6~10個, 11個以上の4群に分類し,旧ステージ分類のリンパ節転移程度として用い, 3つのステージの累積生存率をみた.対象は, 1,464例の切除例中, P0, H0で粘膜内癌(m)とt4症例を除いた879例である.累積生存率は全症例にて行った.現行分類はステージIII bとIV a間に有意差がない.多変量解析では,現行分類と転移個数を組み入れた旧ステージ分類に有意差が見られた.旧ステージ分類の転移程度の分類に変わり,リンパ節転移個数分類を採用してもよい時期に来ていると考える.

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