日本臨床外科学会雑誌
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肉眼的周囲臓器浸潤大腸癌症例の臨床病理学的特性と周囲臓器合併切除の意義
竹田 明彦今関 英男高山 亘鈴木 孝雄中島 光一前田 智子落合 武徳磯野 可一坂本 昭雄
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1222-1228

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抄録

1990年から96年までに肉眼的周囲臓器浸潤を認めた原発性大腸癌切除は45例(大腸癌全切除例の17.4%)で23例(51.1%)に組織学的浸潤を認めた. Si, Ai症例の原発巣占居部位は左側結腸に多く,浸潤臓器は膀胱,腹壁,小腸,子宮の順であった.浸潤臓器別の肉眼的・組織学的浸潤の一致率は胃,小腸などの消化管および子宮が最も高く,膣,膀胱,腹壁の順であった.腫瘍占居部位別の一致率は下行結腸が最も低く,上行,横行結腸で高い傾向を認め,上部直腸では100%であった.切除標本における臨床病理学的因子と組織学的浸潤の関係を検討すると,リンパ節転移率のみに有意な相関性を認めたが,一般に進行度に平行して組織学的一致率も高くなる傾向を認めた.周囲臓器浸潤大腸癌症例における組織学的浸潤の有無と累積生存率との相関から根治度A・B症例では積極的な合併切除が予後向上につながるものと考えられた.

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