日本臨床外科学会雑誌
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多発外傷を合併した外傷性横隔膜ヘルニアの1例
金沢 成雄森内 博紀永江 隆明向井 憲重椙原 美昭山口 昇
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1277-1280

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抄録

転落事故による急性期外傷性横隔膜ヘルニアの1例を早期に診断し救命しえたので考察を加え報告した.本症例は肋骨骨折,坐骨骨折,頭蓋骨骨折を合併し,受傷後早期よりショック症状を呈した.また,来院時の胸部X線写真で左横隔膜の挙上を認め,胸部CT検査で外傷性横隔膜ヘルニアを疑った.直ちに開腹し,脱出臓器を腹腔内へ還能するとともに損傷していた脾臓を摘出した.横隔膜破裂部の修復は,非吸収性の縫合糸で結節縫合を行った.本症例は脾臓損傷にもかかわらず,特に腹部症状を認めなかったが,急性期外傷性横隔膜ヘルニアの早期診断には頻回の身体所見および,経時的胸部X線のチェックが重要で胸部CT検査も極めて有用な補助検査である.

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