1998 年 59 巻 5 号 p. 1281-1285
横行結腸癌を合併したきわめて稀な,間膜軸性胃軸捻転を伴う全胃,広範囲横行結腸嵌頓食道裂孔ヘルニアに対して手術を施行し,良好な経過をたどった1例を経験したので報告する.症例は88歳,女性で,主訴は心窩部痛.心電図にて心房細動,胸部X線写真にて異常陰影を認めたため,超音波検査, CT,上下部消化管造影を施行.横行結腸癌,胆石を合併し,間膜軸性胃軸捻転を伴った全胃,広範囲横行結腸嵌頓食道裂孔ヘルニアと診断した.右半結腸切除術,胆嚢摘出術,食道裂孔右脚縫縮術,胃体部前壁固定術および幽門形成術を施行した.術後経過は良好で,心房細動は消失,画像でも異常所見認めず,第34病日に退院した.