1998 年 59 巻 5 号 p. 1389-1392
症例は65歳女性.右下腹部の重苦感と腫瘤を主訴として来院した.白血球数は正常域にあったがCRP, 赤沈値が充進していた.腫瘤は約4cm大で中央に石灰化様陰影を伴っていた.生検を行うも確定診断には至らなかったが, 1995年5月16日,右半結腸切除術を施行した.術後の病理学的検査にて腸間膜リンパ節結核と診断された.
本疾患の多くは,軽度の炎症性反応を伴った腹部腫瘤として発症するが,臨床像は多彩で術前診断は困難であることが多い.したがって,本疾患が疑われた場合には,早い時期に生検を行い病理学的確定診断を得て,治療に結びつけることが肝要であると考えられた.