日本臨床外科学会雑誌
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S状結腸間膜内ヘルニアの1例
照屋 剛高江 洲裕外間 章野原 正史武藤 良弘
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1401-1404

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抄録

症例は79歳男性で腹部膨満感と悪心を主訴で来院し,イレウスの診断で入院となった.イレウス管留置等の保存的治療を開始したが,症状の悪化を認めたため,発症後7日目に開腹手術を行った.開腹すると回腸末端より約50cm口側の小腸が, S状結腸間膜の左側の腹膜葉(以下左葉)欠損部に生じたヘルニア嚢内に約10cmの長さで嵌頓していた.頓頓腸管は容易に用手的に整復できた.嵌頓腸管部の循環障害はなく,ヘルニア門を縫合閉鎖して手術を終了した.
S状結腸間膜内ヘルニアは内ヘルニアのなかでも稀な疾患である.これまでの本邦報告例は全てS状結腸間膜の右側の腹膜葉(右葉)での発症例であり,文献的に検索したかぎり自験例は初めての左葉発症例と考えられる.

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