日本臨床外科学会雑誌
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巨大な大網原発神経鞘腫の1例
黄 泰平田中 康博松尾 吉庸本多 正治伏見 博彰高尾 哲人
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キーワード: 大網腫瘍, 神経鞘腫
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1405-1408

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抄録

大網原発の神経鞘腫はきわめて稀である.今回,その1切除例を経験したので報告する.症例は54歳の男性. 1996年9月19日,突然の腹痛のため緊急入院.腹部CT検査にて胃に接して尾側へ発育する巨大な腫瘍を認めた.多嚢胞性でありenhanceされる充実性成分を認めた.腹部血管造影検査では右胃大網動脈は著明に拡張し,腫瘍への栄養血管を分枝していた.大網原発の腫瘍と診断し, 1996年10月11日摘出術を施行した.摘出標本は大きさ24×22×9cm,重さ約3.6kgであった.病理組織学的所見では神経鞘腫で悪性所見は認めなかった.術後経過は良好で,術後2週間目に退院した.大網原発神経鞘腫はわれわれが検索し得た限りでは本症例を含め本邦および欧米で計8例の報告があるにすぎない.

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