日本臨床外科学会雑誌
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右季肋部に発生した大きなSpigelヘルニアの1例
山本 協二梅澤 昭子徳村 弘実今岡 洋一大内 明夫松代 隆
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キーワード: Spigelヘルニア
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1998 年 59 巻 5 号 p. 1423-1427

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抄録

Spigelヘルニアはほとんどが後天性に発生するもので,下腹部に好発する.上腹部発生例の報告は本邦では見られず,欧米では3%にすぎない.しかも季肋部発生例は1例しか見られなかった.今回われわれは右季肋部に発生したSpigelヘルニアを経験したので報告する.症例は69歳女性で,腹部外傷の既往はない.肺炎罹患時の咳発作中に痔痛とともに右季肋部が膨隆したという.膨隆は立位と臥位で見られるが,左側臥位で消失した.触診上腹筋の広範な欠損を認めた.腹部CT所見では右季肋部の腹直筋外側で内腹斜筋と腹横筋の欠損像を認め,外腹斜筋直下に腸管のガス像がみられたことより腹壁ヘルニアと診断した.開腹所見では右外腹斜筋の腹腔側にヘルニア嚢を認めた.ヘルニア門は10×4cm,ヘルニア嚢は12×5cmであった.ヘルニア内容物は手術時には認められなかった.ヘルニア門を内腹斜筋,腹横筋とともに結節縫合にて閉鎖し, polypropylene meshで補強した.

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