抄録
頭皮腫瘤を主訴として来院した58歳女性に発生したProliferating trichilemmal cystの1切除例を報告する. 10年以上の長い病歴を有し,最近6カ月に急速増加した.針生検で診断は得られず,頭皮悪性腫瘍の疑いで全身麻酔下に摘出した.組織学的には,内部に出血や異物反応を伴い,角質物質を含む嚢腫で構成され,細胞異型はなく, PTCと診断された.
PTCは,既存の外毛根鞘嚢腫が機械的,化学的刺激をうけて増殖した良性腫瘍と考えられており,中高齢女性の頭髪部に好発する.臨床的には,悪性変化が問題とされており,不完全な切除を繰りかえさないことが重要で, PTCが疑われる時には,皮膚科,形成外科と連携して治療に当るべきである.