日本臨床外科学会雑誌
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交通事故後5年後に手術された外傷性心嚢内横隔膜ヘルニアの1例
平原 浩幸相馬 孝博
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1998 年 59 巻 8 号 p. 2012-2016

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抄録

横隔膜の破裂が横隔膜心嚢面に限局しておこる外傷性心嚢内横隔膜ヘルニアの頻度は非常に稀である.症例は51歳の男性で, 5年前に歩行中乗用車にはねられ,左血胸のため他科にてドレナージが施行された.食事後の前胸部異常音を主訴に当科に紹介された.胸部CTにて消化管が横隔膜上にあることが確認され,左側に発生した外傷性横隔膜ヘルニアと診断して胸腔鏡手術を開始したが,横隔膜の破裂部位は心嚢面に限局しており,心嚢内に脱出した外傷性心嚢内横隔膜ヘルニアであった.胸腔鏡では修復は困難であったため,小開胸後心膜を切開した.腹腔臓器(胃,大網,大腸の一部)を還納した後,ヘルニア門を直接縫合した.診断にはCT検査が有用であるが, pneumopericardiumが存在しない場合術前に外傷性心嚢内横隔膜ヘルニアと確診することは困難と思われた.

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