日本臨床外科学会雑誌
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腹部大動脈瘤手術後9カ月後に発症した壊死型虚血性大腸炎の1例
浜田 貴幸小原 則博金高 賢悟小野原 義明天野 実河合 紀生子
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1998 年 59 巻 8 号 p. 2063-2066

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抄録

腹部大動脈瘤術後の虚血性腸病変は術後早期に発症することが多く,長期経過後に発症するのは極めて稀である.
症例は65歳,女性.平成6年5月24日腎下部腹部大動脈瘤にて人工血管置換術を施行した.術後9カ月後に急性胆嚢炎によりショック状態に陥る.保存的治療にて軽快するも2週目に下血,腹痛が出現した.画像診断にて下行結腸から直腸上部にかけ,全周性狭窄, thumb printing像を認め,虚血性大腸炎と診断した. 3カ月間の保存的治療にても狭窄消失せず手術適応と判断され,平成7年6月20日左半結腸切除,横行結腸による人工肛門造設術を施行した.病理組織学的所見では粘膜側は潰瘍を形成し,漿膜下の出血,炎症細胞浸潤,線維化,一部に穿孔も認め,壊死型虚血性大腸炎と診断した.

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