日本臨床外科学会雑誌
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十二指腸水平脚stromal tumorの1例
森永 秀夫唐木 芳昭宗像 周二
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キーワード: 十二指腸粘膜下腫瘍
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1998 年 59 巻 9 号 p. 2289-2294

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抄録

十二指腸水平脚の粘膜下腫瘍に対し,手術を施行し良好な経過をたどった1例を経験した.腫瘍の組織学的所見,および免疫抗体染色にてgastrointestinal stromal tumor (GIST)と考えられた. GISTの若干の文献的考察を加え報告する.症例は49歳,女性.心窩部痛,眩量を主訴に来院.上部消化管内視鏡にて,十二指腸水平脚に出血を伴う粘膜下腫瘍を認めた.外科的治療の適応と考え,十二指腸部分切除を行った.術後8カ月を経過した現在においても吻合部狭窄,再発は認めず,経過は良好であった.腫瘍は管内外性に発育し,膵頭部との境界は明瞭であった.組織学的所見としては,細胞は紡錘形の核と細胞質を有し,充実状~胞巣状に配列,核分裂像はほとんど認めなかった. SMA, desminが(-), S-100蛋白, NSEが(+/-) で,神経系腫瘍(GANT)が考えられた.

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