1998 年 59 巻 9 号 p. 2331-2333
Meckel憩室炎の微小穿孔から,汎発性腹膜炎をきたした1例を経験した.症例は41歳,男性.初発症状として上腹部痛を自覚,続いて腹部全体にわたる疼痛と嘔吐があり当院入院となった.汎発性腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.開腹にて,多量の膿性腹水と, S状結腸腸間膜に癒着したMeckel憩室を認め,憩室を含めた回腸の楔状切除を行った.肉眼的・組織学的に,穿孔部を指摘できなかったが,諸所見から微小穿孔の存在は確実と思われた.
本症例の臨床経過は,胃・十二指腸潰瘍穿孔や虫垂炎穿孔に類似していたが,圧痛点が鑑別のポイントとなった.