日本臨床外科学会雑誌
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後腹膜原発巨大滑膜肉腫の1例
渡部 克也山崎 安信須田 嵩牧野 達郎
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キーワード: 後腹膜, 滑膜肉腫
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1998 年 59 巻 9 号 p. 2404-2409

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抄録

後腹膜に発生した巨大な滑膜肉腫の1例を経験したので報告する.症例は55歳,女性.平成7年頃より下腹部腫瘤を自覚.平成9年1月に後腹膜腫瘍を疑われ,当院へ紹介された.腹部CT, MRI検査では,腫瘍は左後腹膜に存在し大動脈から左腸骨動脈を13cmにわたり巻き込み,また左腎は水腎症となっていた.血管造影検査で腫瘍は乏血管性であり, CT下針生検で悪性腫瘍を疑われた. 3月17日開腹手術を行った.腫瘍は後腹膜に存在し約14×9cm,左腎門部および尿管を巻き込んでいた.腫瘍をごく一部残し腫瘍摘出術,左腎摘出術を施行した.病理組織学的検査で腫瘍は多房性で内部には暗赤色の液体貯留を認めた.充実性部分の腫瘍細胞はshort spindleで滑膜肉腫と診断した.左腎孟および尿管に腫瘍細胞浸潤を認めた.術後経過は順調で現在外来で経過観察中である.

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