日本臨床外科学会雑誌
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後腹膜腔に嚢胞状腫瘤を形成した原発巣不明の腹膜偽粘液腫の1例
寺岡 均由井 三郎浅井 毅土肥 浩義緒林 誠
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1998 年 59 巻 9 号 p. 2410-2415

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抄録

症例は51歳女性.右下腹部腫瘤および腹部膨満感を主訴に来院,精査の結果腹膜偽粘液腫と診断,平成7年9月5日手術施行した.盲腸・上行結腸外側より右腸腰筋に到る後腹膜腔に,内部がゼラチン様物質で充満した嚢胞状の腫瘤が存在した.腫瘤と腹腔内は交通があり,腹腔内にも同様の物質を多量に認めた.腫瘤と上行結腸は剥離困難で, S状結腸には播種と思われる小結節を認め,虫垂は過去に切除されており確認できなかった.嚢胞を含めた右半結腸切除, S状結腸切除,大網切除,両側卵巣摘出,および腹腔リザーバー留置を行い,腹腔内を5%ブドウ糖液で洗浄, CDDP 100mgを散布した.病理組織学的にはmucinous cystadenomaであった.術後5%ブドウ糖液による腹腔内洗浄を繰り返し行い, CDDP 200mgの腹腔内注入と5-FUの全身投与も行った.後腹膜腔に主病変を認める腹膜偽粘液腫は極めて稀であると考えられたので,若干の文献的考察を加えて報告した.

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