日本臨床外科学会雑誌
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動静脈瘻を合併した孤立性腸骨動脈瘤の1例
矢野 浩巳伊藤 幹彦箱島 明藤原 靖之
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1998 年 59 巻 9 号 p. 2416-2419

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抄録

孤立性腸骨動脈瘤破裂による動静脈瘻は稀な合併症である.今回われわれは,下肢の静脈還流障害および虚血症状にて来院し,動脈造影にて診断し緊急手術にて治癒せしめたので報告する.症例は83歳男性.主訴は左下肢腫脹,チアノーゼおよび疼痛.左下腹部に拍動とスリルを伴う腫瘤を認めた. DSAにて最大横径80mmの左総腸骨動脈瘤と,早期に左総腸骨静脈,下大静脈が造影され動静脈瘻の診断にて同日手術を施行した.術中所見は動脈瘤後壁にて径5×5mmの小孔を認め動脈側より縫合閉鎖し,人工血管によるバイパス術を行った.腸骨動脈瘤破裂に伴う動静脈瘻は,様々な症状にて発見される事が多く慎重な診察が必要であり,いったんこの疾患が疑われれば迅速な動脈造影等の検査と早期治療が必要と考えられた.

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