抄録
椎体切除を必要とした肋間神経由来神経鞘腫の1切除例を経験した.症例は35歳男性.3年前より時々右側腹部の鈍痛を自覚していたが放置.会社の検診で胸部異常陰影を指摘されCTを施行したところ胸椎第10~11椎間孔に腫瘤陰影を認めたため,摘出目的に入院となった.手術は第8~12胸椎棘突起にかけてト字型に皮切を置く後方よりのアプローチにて第10, 11肋骨の一部を切除し,第10胸椎椎弓下半を削りとり硬膜を露出しながら腫瘤を摘出した.腫瘤は第10肋間神経由来の神経鞘腫であった.傍脊柱の神経原性腫瘍は末梢神経由来,神経節由来にかかわらず,椎間孔に嵌入しDumbbell型に発育することがあり,腫瘤の増大により脊髄圧迫症状が出現するため,早期発見,早期治療が必要であると考えられる.