1999 年 60 巻 10 号 p. 2721-2725
症例は56歳の男性で胃小彎の4型胃癌に対し胃全摘術を施行,腹腔動脈~脾動脈周囲リンパ節に転移があり可及的な郭清を行った.術後60日目に突然の大量吐血が出現し,腹腔動脈造影で脾動脈根部に仮性動脈瘤を認め,これが再建に用いた空腸係蹄に穿破したものと考えられた.再び吐血が生じたため緊急血管造影を施行,金属コイルを用いて塞栓を行い良好な経過が得られた.定期的なCTの観察では動脈瘤はほとんど指摘できなくなっている.上部消化管癌手術後に生じる仮性動脈瘤について本邦の文献を集計し,成因,治療を中心に考察した.