日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
胃全摘術後に脾動脈仮性動脈瘤を生じ大量吐血を来した1例
山吉 隆友下山 孝俊山下 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 60 巻 10 号 p. 2721-2725

詳細
抄録

症例は56歳の男性で胃小彎の4型胃癌に対し胃全摘術を施行,腹腔動脈~脾動脈周囲リンパ節に転移があり可及的な郭清を行った.術後60日目に突然の大量吐血が出現し,腹腔動脈造影で脾動脈根部に仮性動脈瘤を認め,これが再建に用いた空腸係蹄に穿破したものと考えられた.再び吐血が生じたため緊急血管造影を施行,金属コイルを用いて塞栓を行い良好な経過が得られた.定期的なCTの観察では動脈瘤はほとんど指摘できなくなっている.上部消化管癌手術後に生じる仮性動脈瘤について本邦の文献を集計し,成因,治療を中心に考察した.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top