日本臨床外科学会雑誌
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虫垂切除を行った先天性第XI因子欠乏症の1例
佐々木 秀章
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1999 年 60 巻 10 号 p. 2775-2777

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抄録

急性虫垂炎の術前検査で著明なAPTT延長を示し,先天性第XI因子欠乏症と判明した1例とその家族について報告する.
症例は48歳男性,急性虫垂炎で紹介された.術前検査でPT 12.0 (対照12.2) 秒, APTT 127.0 (29.6) 秒,出血時間3分30秒のため, APTT補正試験を行い23.6秒と正常化を確認した.FFPを準備したが臨床的に出血傾向ないため投与は行わず,周術期に問題生じなかった.精査で凝固第XI因子活性が3%以下と判明した.続いて13歳の長男も急性虫垂炎で来院, APTT 38.3 (31.0) 秒,第XI因子は36%, 長女はモルキオ病のため頸椎減圧などを受けておりAPTT 35.8 (30.4) 秒,第XI因子は35%であった.母親の凝固検査は正常.
先天性XI因子欠乏症は稀な疾患であり,常染色体不完全劣性遺伝といわれている.この家族では父親がホモ,子供たちがヘテロ接合体と考えられた.

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