日本臨床外科学会雑誌
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下大静脈原発平滑筋肉腫の1例
宇野 雄祐平野 誠村上 望横井 健二野澤 寛橘川 弘勝
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1999 年 60 巻 12 号 p. 3126-3130

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抄録

症例は68歳,女性.検診の腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘され,精査目的で当院に入院した.腹部超音波検査・CT検査の結果,肝門部レベルから腎静脈レベルに及ぶ後腹膜腫瘍と判明した.腹部MRI検査で腫瘍による下大静脈および左腎静脈の閉塞が認められた.血管造影でも下大静脈,左腎静脈の閉塞が確認され,いずれも側腹血行路により還流されていた.以上から下大静脈原発腫瘍と診断し手術を行った.腫瘍は肝門部から右腎静脈直上にわたる最大径9.5cmの後腹膜腫瘍であり,下大静脈と一塊になっていた.左腎静脈を結紮切離した後,腫瘍の頭側,および右腎静脈直上で下大静脈を切離し,腫瘍とともに摘出した.病理組織検査の結果,下大静脈壁原発平滑筋肉腫と診断された.

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