日本臨床外科学会雑誌
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小腸間膜原発悪性パラガングリオーマの1例
尾上 重巳加藤 岳人千木良 晴ひこ松尾 康治鈴木 正臣柴田 佳久
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1999 年 60 巻 12 号 p. 3297-3300

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抄録

症例は38歳女性.健康診断の腹部超音波検査にて肝腫瘍を指摘された.入院時軽度の貧血を認め,左上腹部に鶏卵大の腫瘤を触知した.血圧,脈拍は正常であった.術前検査にて肝右葉に2個,左尾状葉に1個の腫瘍と小腸間膜にも腫瘍を認めた.術前肝腫瘍の針生検では原発性肝癌と診断された.術中肝左葉にも腫瘍を認めたため肝右葉切除術,尾状葉切除術,肝左葉部分切除術と小腸間膜腫瘍を含む小腸切除術を施行した.組織学的検査で腫瘍細胞は類円形の核と好酸性の胞体を持ち,胞巣状,リボン状,偽管状に配列し,血管に富む結合組織により分葉され,核分裂像を認めた.肝転移,リンパ節転移を伴う小腸間膜原発パラガングリオーマと診断された.術前採取した血液の血清学的検査ではアドレナリン,ノルアドレナリンは正常で,ドーパミンは850pg/mlと高値を示した.患者は術後2年の現在無再発生存中である.

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