日本臨床外科学会雑誌
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肝外傷42手術症例の検討
須藤 隆一郎黒田 豊本郷 碩中安 清倉田 悟永島 浩縄田 純彦尾中 祥子田村 浩章原田 昌和北島 正親阿野 正樹
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1999 年 60 巻 2 号 p. 320-323

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抄録
1969年から1997年6月までに当科にて手術を施行した肝損傷42症例のうち術後死亡した9症例を中心に損傷型,手術方法,死因などを検討した.死亡例の日本外傷学会肝損傷分類は, II型4例, IIIa型1例, IIIb型4例であった. IIIb型以外の症例では他臓器合併損傷が直接死因であったのに対し, IIIb型手術症例9例のうち死亡した4症例の死因は, 3例が肝臓の出血, 1例がMRSA敗血症によるものであった. IIIb型の死亡例は,いずれも肝切除術を施行していない症例で, IIIb型症例でも右葉切除術,後区域部分切除を施行したそれぞれ3例と1例は,いずれも良好な結果であった.
われわれの経験では,重症肝損傷例における肝切除術は有効な術式であり,治療に際し検討すべき術式の一つであるといえる.
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