抄録
症例は69歳女性.1977年左CDE領域,4×5cmの乳癌のため定型的乳房切断術を受けた.組織型は乳頭腺管癌でT2,n1α,M0,病期IIであった.術後問題なく経過していたが1996年(術後19年)左鎖骨上の腫瘤に気づき穿刺細胞診で腺癌の所見を得た.また同時期に左前胸部の湿疹様の発赤を認め,生検で真皮内に転移を認めた.再発後内分泌療法を開始し,約1年半になるが再発部の大きさ性状に変化はなく,全身状態良好で何ら制限なく日常生活を営んでいる.
乳癌晩期再発例は高齢者であることが多く,局所再発は全身病の一部と考えると,過大な手術侵襲を避けQOLを考慮した治療方針を立てるべきである.