抄録
最近10年間に教室で経験した75歳以上高齢者急性胆嚢炎症例26例 (75~92歳,平均80.8歳,男性6例,女性20例)を,傍乳頭憩室の有無で2つに分け臨床的特徴を分析し以下の結果を得た.傍乳頭憩室を併存する例では非併存例に比較して, 1) 急性胆嚢炎の合併率が高かった. 2) Charcot 3徴を多く認めた. 3) 白血球数増加,肝機能障害を多く認めた. 4) 総胆管結石を多く認めた. 5) ビリルビンカルシウム石を多く認めた. 6) 胆嚢内細菌感染 (E.coliなど)を全例に認めた. 7) 全身合併症(無気肺,心不全など)の発生率が腹部合併症(創感染,腸閉塞症など)より高かった.なお,術後合併症発生症例では,傍乳頭憩室の有無に関係なく心・肺・肝・腎機能のうち1因子以上が異常を示した.