日本臨床外科学会雑誌
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胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術後の食道縦隔瘻にethyl 2-cyanoacrylate注入が有効であった1例
黒田 直樹高木 融佐藤 滋酒井 治正青木 達哉小柳 泰久
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1999 年 60 巻 3 号 p. 693-696

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抄録
胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術後の食道縦隔瘻にethyl 2-cyanoacrylate注入が有効であった1例を報告する.
症例は40歳男性.健診にて胸部異常陰影を指摘され,精査治療目的に入院,縦隔腫瘍の診断にて胸腔鏡下腫瘍摘出術が施行された.腫瘍は気管原性嚢胞と診断された.術中食道壁を損傷し開胸下に縫合修復を行ったが,術後食道縦隔瘻となった.禁食,中心静脈栄養管理,ドレナージ,抗生剤投与による保存的治療を行ったが瘻孔は難治性となった.内視鏡的にethyl 2-cyanoacrylateを瘻孔内に注入したところ1回の注入により瘻孔の閉鎖を認め,注入後40日にて退院となった.
難治性瘻孔に対する内視鏡的瘻孔閉鎖術は比較的簡単な手技で安全に繰り返し施行でき,治療期間を短縮できる点で有効と思われる.
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