日本臨床外科学会雑誌
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胃癌乳腺転移の1例
工藤 浩史坂谷 貴司柴田 俊輔石黒 稔西土井 英昭村上 敏
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キーワード: 乳腺, 胃癌, 転移
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1486-1489

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抄録

極めて稀な胃癌の両側乳腺転移の1例を報告した.患者は46歳,女性.主訴は左乳房腫瘍と背部痛.平成5年10月29日,胃癌にて胃切除術施行された〔ow(-), aw(-), P0, H0, n2, t2, mp, infγ .ly2. v0, stage IIIa, cura. B〕.病理組織型は低分化型腺癌であった.同8年5月より前記症状あり,骨シンチにて著明な骨転移と診断された.同6月左乳房全域に8.6×7.6cmの弾性硬で皮膚と乳頭に浸潤した腫瘍と左腋窩リンパ節転移を触知した.この時,右乳房に腫瘍はなかった.同10月右乳房にも5.8×5.6cmの腫瘍を触知した.左乳腺の穿刺吸引細胞診,切開生検でも乳腺由来か胃癌の転移かの鑑別が困難で左非定型的乳房切除術を施行した.術後の病理組織学的検索では胃癌の乳腺転移が疑われた.確定診断には胃癌組織と同様の陽性の染色性を示すParadoxical Concanavalin A染色, HIK 1083染色, Galactose-Oxydase-Shiff反応が有用であった.乳房切除術から5カ月後肺転移,癌性胸膜炎で死亡した.

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