1999 年 60 巻 6 号 p. 1495-1499
症例は18歳男性.主訴は高熱,血痰.既往症に食物アレルギーがあったが,気管支喘息は,無かった.胸部X線像で,右肺野に嚢胞状陰影および内容液貯留像が認められた.感染を伴った気管支原性嚢胞と診断し,抗生物質投与で軽快したが,感染を繰り返したため嚢胞部肺部分切除を行った.術後病理診断で,クリプトコッカスによるアレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)と診断した.本症例は,術前診断としてRosenbergの診断基準を必ずしも満たすものでなかったが,切除例におけるBoskenらの病理形態学的所見を加味した診断基準を満たしていた.