日本臨床外科学会雑誌
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大腸癌肺転移と原発性肺癌を同時に切除した1例
竹内 幾也石田 秀行中山 光男菊池 功次出月 康夫糸山 進次
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1500-1504

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抄録

症例は71歳,女性. 68歳時に, S状結腸癌に対しS状結腸切除術(D2)施行. Dukes Bの高分化腺癌であった.その術後33カ月目に2つの肺転移巣に対し右上中葉切除術施行.さらにその術後15カ月目に左肺下葉に2つのcoin lesionを認め, S8およびS10の楔状切除施行. S8の腫瘍は高分化腺癌でS状結腸癌の組織像と酷似しており, S状結腸癌の肺転移と診断した. S10の腫瘍は肉眼的に胸膜陥入像を,また組織学的に立方状の癌細胞が既存の肺胞上皮を置換するように増殖しており,原発性肺腺癌と診断した.本症例のように大腸癌肺転移と原発性肺腺癌の同時切除例と考えられる症例はきわめて稀であるが,大腸癌および肺癌罹患率は増加傾向にあり今後同様の症例が増加することが予想される.その点,本症例は臨床上貴重な症例であると考えられたので文献的考察を加え報告する.

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