日本臨床外科学会雑誌
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食道類基底細胞癌の1例
秋山 浩利国崎 主税市川 靖史関戸 仁渡会 伸治嶋田 紘
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キーワード: 食道癌, 類基底細胞癌
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1533-1536

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抄録

症例は61歳の男性.近医にて胸部食道癌と診断され,手術目的で当院紹介入院となった.食道造影で食道ImEi領域に長径6.5cmの隆起性病変を認め,内視鏡検査で上切歯列より35cmの前壁に1型の腫瘍を認めた.生検で類基底細胞癌と診断し,胸部食道切除術を施行した.切除標本では胸部正中部食道に6.5×2.0cmの表面凹凸不整の1型の腫瘍を認めた.病理診断は食道類基底細胞癌(a2, n2, ly0, v0)であった.術後ADMと5-FUの全身化学療法を施行し,術後7カ月現在,再発の兆候なく健在である.食道類基底細胞は一般に予後不良と報告されているが,表在癌症例ではリンパ節転移例が少なく,予後は比較的良好であり,食道類基底細胞癌は早期発見により予後の改善が期待できると考えられた.

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