日本臨床外科学会雑誌
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巨大な胃壁内転移を伴った食道癌の1例
西村 渉戸田 佐登志宮木 功次
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キーワード: 食道癌, 胃壁内転移
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1528-1532

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抄録

症例は81歳女性.食欲不振を主訴に当院入院,精査にて食道癌および胃体上部に巨大な粘膜下腫瘍を認め, 6月17日食道亜全摘・胃上部切除R1,胸腔内食道胃吻合を施行した.胃粘膜下腫瘍は8.0×7.8×4.8cmで,病理組織所見では扁平上皮癌であり,食道癌の胃壁内転移と考えられた.原発性食道癌取扱い規約に基づく手術所見はImEi, A0 N(-), M0. Pl0. Stage Iであった.術後2年2カ月現在再発兆候を認めない.食道癌の胃壁内転移の頻度は1.0~4.7%と少ないが,原発巣に比べ胃壁内転移巣の方が大きかったり,急速に増大するものがしばしば認められる.食道癌の診療に際しては,たとえ術前N(-), A0の症例であっても胃病変の詳細な観察が必要である.

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