日本臨床外科学会雑誌
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皮下,大腸,乳腺に転移を伴った食道原発悪性黒色腫の1例
小西 毅山口 浩和青木 文夫杉崎 勝好上西 紀夫古橋 修介
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1999 年 60 巻 6 号 p. 1542-1546

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抄録

食道原発悪性黒色腫は食道悪性腫瘍の0.1~0.4%をしめる稀な疾患である.その転移部位は,肝臓,縦隔・肺門リンパ節,肺などが多く報告されている.今回われわれは皮下,大腸,乳腺に転移を伴う食道原発悪性黒色腫の1例を経験した.検索し得た範囲では大腸,乳腺転移の報告はなく,皮下転移も8%と稀であるため報告する.症例は78歳女性.来院時,左前腕,後頸部,右鎖骨上窩の皮下,左乳腺に腫瘍を認めた.上部消化管内視鏡にて門歯28~37cmに所々黒色を呈するカリフラワー状半周性隆起性病変を認め,組織診にて悪性黒色腫と診断された.乳腺腫瘍,皮下腫瘍,大腸内視鏡にて発見された粘膜下腫瘍からも同様の細胞が認められた.食道腫瘍生検組織に接合部活性は認めなかったが,形態,大きさ,口側粘膜におけるメラノーシスの存在,全身検索上他に原発巣と思われる病変を認めないことから,食道原発と診断した.

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